写真からエッジの効いた3Dモデルを作る「CotextCapture」
その実力をヘビーユーザーに直撃(ベントレー・システムズ)

2016年7月3日

ベントレー・システムズの「ContextCapture」は、ドローンや街中で撮影した写真から、3Dモデルを自動作成するソフトだ。丸くなりがちな構造物の角をシャープに、そして平らな面は細かな凹凸を抑えて、軽くてエッジの効いた精密な3Dモデルが作れるのだ。技術サポートを担当するベントレー社の販売代理店である、みるくる技術部長の稲葉伸二氏に直撃取材した。

3Dリアリティー・モデリングソフト「ContextCapture」で航空写真から自動作成した3D都市モデル

3Dリアリティー・モデリングソフト「ContextCapture」で航空写真から自動作成した3D都市モデル

   角にエッジが効いた3Dモデルを作成

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)による設計を行うとき、建設予定地の街並みや地形を3D化する方法として、連続写真をコンピューターで解析して点群データ化し、3Dモデルを作る方法がある。

しかし、写真データから自動的に作った3Dモデルは、エッジ部の形状表現にゆるみがあったり、平面部では不要な微小凹凸があったりと、そのモデル形状の緩さに満足できなかったユーザーは少なくない。

そのような問題の多くを解決してくれるのがベントレー・システムズの3Dリアリティー・モデリングソフト「ContextCapture」だ。

日本での販売代理店であり、ヘビーユーザーでもある、みるくる(本社:東京都渋谷区)技術部長の稲葉伸二氏は「対象物の3次元形状の特徴点をより明確に作成し、無駄な制御点によるモデル構成面を最小にすることに特化した独自のアルゴリズムにより、エッジを明確に表現し、より容量の少ない、的確な3次元モデルを作成できます」と説明する。

みるくる技術部長の稲葉伸二氏

みるくる技術部長の稲葉伸二氏

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ローマ時代の水道橋を3Dモデル化したもの。細部を拡大するとエッジ部分がシャープにできていることがわかる

ローマ時代の水道橋を3Dモデル化したもの。細部を拡大するとエッジ部分がシャープにできていることがわかる

教会内部の彫刻を3Dモデル化したもの。凹凸の細かさによってメッシュの大きさが最適に調整されている

教会内部の彫刻を3Dモデル化したもの。凹凸の細かさによってメッシュの大きさが最適に調整されている

   スマホ、デジカメ、ドローンの組み合わせもOK

ContextCaptureは、様々な写真を入力データとして使える。例えば、一般のデジタルカメラやスマートフォンのほか、クルマやドローンに搭載したカメラ、そして小型飛行機に搭載した本格的な航空測量用カメラなどで撮影した写真を、混在して使えるのだ。

例えば橋の3Dモデルを作るとき、上部や側面はドローン、橋の下はデジタルカメラでそれぞれ撮影した写真を使うことができる。

商店街などは道を歩きながら右、正面、左と繰り返しシャッターを切りながら写真を撮影し、それをもとに3Dモデル化できる。

都市の3Dモデルを作るときは、小型飛行機に搭載した航空測量用カメラで真下と前後左右の5カットを同時に撮影した連続写真を使う。するとビルの全面にテクスチャーが付いた精密な都市モデルが作れる。

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点群に面を張った状態(上)と、テクスチャーを張った街並みの3Dモデル(下)

点群に面を張った状態(上)と、テクスチャーを張った街並みの3Dモデル(下)

航空測量用カメラで撮った写真から作成した、大規模なインターチェンジの3Dモデル(資料提供:アジア航測)

航空測量用カメラで撮った写真から作成した、大規模なインターチェンジの3Dモデル(資料提供:アジア航測)

   少ない修正作業

写真による自動モデリングでは、生成モデル形状の再現性が不十分で、その修正処理の多くの手作業を強いられることがある。

しかし「ContextCapture」によって作成される3次元モデルは、その再現性の高さにより、そのようなモデル修正を最小限にすることができる。例えば、細かい配管や配線が入り組んだジェットエンジンの3Dモデルだ。

「これだけ複雑な物体でも、死角が極力ないように丹念に撮影した写真を使ってモデル化すると、細部をも表現した、高い再現性のモデルが生成されます」(稲葉氏)。

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写真データから作ったジェットエンジンの3Dモデル。配線や配管、部品などが入り組んだ複雑な形状だが、手作業によるノイズ除去はほとんど必要ない

写真データから作ったジェットエンジンの3Dモデル。配線や配管、部品などが入り組んだ複雑な形状だが、手作業によるノイズ除去はほとんど必要ない

形状の再現性が高いのは、精度が高いことの証明でもある。他の類似ソフトは、写真撮影時に設置したターゲットなど数個の点を基準として、位置関係を強制的に合わせるものもある。

一方、ContextCaptureでは写真データの解析時にすべての点について位置関係が整合性を保つように処理する。そのため、ノイズも出にくく、完成度の高い3Dモデルができるのだ。

   一般用カメラでも3~5ピクセルの精度

精度が高い、大規模な都市モデルを作成するため、ContextCaptureは大量の写真データ処理が行える設計になっている。そのデータ量の単位はギガピクセルだ。

例えば、通常版のContextCaptureは、100ギガピクセルまでの写真を読み込んで処理できる。例えば、ドローンでの空撮によく使われる6000×4000ピクセルの写真だと1枚24メガピクセルなので4160枚、10メガピクセルの写真だと1万枚も同時に読み込める。

さらに、「ContextCapture Center版」だとソフトウエア上の制限はなく、何千枚、何万枚もの写真を読み込んで3Dモデルを作れる。しかも、処理PCにさほど高価な条件を必要としないのが、このソフトウエアの一つの特徴だ。

ノートパソコンでも1週間あれば新宿~渋谷間の3D都市モデルが作れる

ノートパソコンでも1週間あれば新宿~渋谷間の3D都市モデルが作れる

データ量が増えると、当然、計算時間も長くなる。「例えば航空測量用のカメラで、東京の新宿~渋谷間を撮影した2400枚の写真を使って3D都市モデルを作った場合、ノートパソコンで1週間かかる」と稲葉氏は言う。

これだけの計算時間がかかると、パソコンがフリーズしてしまったのではと心配になるが、計算中は計算の進ちょく状況が画面に表示されるので安心だ。また、万一、停電が起こってパソコンがダウンしても、計算途中のデータがハードディスクに保存される仕組みになっているため、後で続きの計算を行えるようになっている。

また、パソコンの台数を増やして計算を分散処理させることもできる。もし5台のパソコンを使うと、計算に要する時間は5分の1で済むことになる。

こうした大容量の写真データから、大規模、高精度で軽い3Dモデルを作れる点が評価されContextCaptureは大手の建設コンサルタントなどで使われている。今後、BIMやCIM、 国土交通省のi-Constructionが普及すると、さらにContextCaptureが活躍する場も広がっていきそうだ。

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造成地の3Dモデル(上)と高さごとに色分け表示したヒートマップ(下)。情報化施工での土量計算などにも使えそうだ

造成地の3Dモデル(上)と高さごとに色分け表示したヒートマップ(下)。情報化施工での土量計算などにも使えそうだ

ContextCaptureはベントレー・システムズが開発を担当し、販売窓口とサポートは日本代理店のみるくるが担当している。価格は通常版が100万円(税別。以下同じ)で年間保守料が20万円、Center版が500万円で年間保守料が100万円となっている。

高価な3Dレーザースキャナーを使わなくても、高精度の3Dモデルを作れるContextCaptureの活用を検討してみてはいかがだろうか。

 【問い合わせ】

 株式会社ベントレー・システムズ
 〒171-0022 東京都豊島区南池袋1-13-23 池袋YSビル8F
 TEL:03-5992-7770、ホームページ https://www.bentley.com/

 株式会社みるくる
 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-12-1 渋谷マークシティウエスト22階
 TEL:03-4360-5557、ホームページ http://www.mirukuru.co.jp/