「ContextCapture」とドローンで建設現場と資材ヤードを3D化
三菱日立パワーシステムズの物流管理(ベントレー・システムズ)

2017年7月3日

発電所などの建設を手がける三菱日立パワーシステムズは、建設現場や資材を仮置きする資材ヤードを定期的に3Dモデル化し、全体を俯瞰(ふかん)してのエリアの調整など、工事中の土地活用状況の管理を始めた。その3Dモデルを作るソフトは、ベントレー・システムズの3Dリアリティー・モデリングソフト「ContextCapture」だ。ドローンから空撮した写真で作った3Dモデルで、どのような資材管理を行っているのかを直撃取材した。

ドローンによる空撮写真と3Dリアリティー・モデリングソフト「ContextCapture」で作成した資材ヤードの3Dモデル

ドローンによる空撮写真と3Dリアリティー・モデリングソフト「ContextCapture」で作成した資材ヤードの3Dモデル

   広大な資材ヤードの全容を一目で把握

「ドローンによる空撮写真と、ベントレー・システムズの3 Dリアリティー・モデリングソフト『ContextCapture』のおかげで、建設現地や広大な資材ヤードの全貌が一目でわかるようになりました」と語るのは、三菱日立パワーシステムズ エンジニアリング統括部土木建築技術部主席技師、大脇茂弘氏だ。

同社が手がける火力発電所などの建設プロジェクトでは、工事で使う鉄骨やボイラー、電気設備、配管など多種多様な建設資材を仮置きするための広大な資材ヤードが欠かせない。

「今までは、毎週、工事の進ちょく確認のために、主にドローンによる空撮情報を使用していましたが、今回、さらに、資材ヤード全体の活用状況確認のためにもドローン情報を活用できないかを検討していました。地上からの視点では、ヤード全体を見渡すことができないので、どこに何が、どれだけの量、置いてあるのかといった全体的な情報を俯瞰することができませんでした。その点、3Dモデルはあらゆる角度からヤードの活用状況を分析できるので重宝しています」(建設総括部建設工事計画部企画グループ
グループ長 加納豊氏)。

三菱日立パワーシステムズ エンジニアリング統括部土木建築技術部主席技師、大脇茂弘氏(左)と同社建設総括部建設工事計画部企画グループ グループ長の加納豊氏

三菱日立パワーシステムズ エンジニアリング統括部土木建築技術部主席技師、大脇茂弘氏(左)と同社建設総括部建設工事計画部企画グループ グループ長の加納豊氏

ヤード内に空地があったとしても、その周囲に資材が置かれていたらデッドスペースになってしまう。また、地上からヤードを見て回るだけでは、資材の奥にどれだけの量が積んであるのかがわかりにくい。

こうした問題を解決するため、同社ではドローンを使って資材ヤードの上空から空撮を実施し、打ち合わせの活用を始めた。

   3Dモデル上で寸法、面積などの計測も可能

ベントレー・システムズが開発した「ContextCapture」は、連続写真から街並みなどの3Dモデルを自動作成するソフトだ。写真から角や変化点などの特徴点を自動的に検出し、それを手がかりにして、3Dモデルを作ってくれる。

3Dモデル化の対象は様々だ。大きなものでは、大都市の無数のビル群を丸ごと3Dモデル化できるほか、多数の部品や配管が複雑に入り組んだジェットエンジンもCADで設計したのかと見まがうほど精密に3Dモデル化する。

「ContextCaptureのよいところは、2万m2くらいのヤードでも、20~30枚の写真を撮るだけで、物量の管理には十分な精度の3Dモデルが作れることです。ドローンによる空撮時も、写真のラップ率が60~70%あれば大丈夫です」と大脇氏は言う。

実際に出来上がったヤードの3Dモデルを拡大して見ると、積み上げてある資材もシャープな3Dモデルになっている。ダンプトラックのドアが開いている様子も、そのまま3Dモデルになっているほどの精巧さだ。

「鋼材やボイラーなどの機器類があると、3Dモデル化したときに『ノイズ』という不要部分ができることがあります。しかしContextCaptureを使っていて、ノイズは一度も意識したことがありません。スムーズな3Dモデルができるので、ノイズ取りにおわれることもなく、仕事がはかどります」(大脇氏)。

ヤードの3Dモデルを拡大したところ。積み上げてある資材も3D化されており、高さなどの計測も行える

ヤードの3Dモデルを拡大したところ。積み上げてある資材も3D化されており、高さなどの計測も行える

現場でメジャーを使うことなく、3Dモデル上で面積や周長などを計測できる●

   高さ情報を活用し、ヤードの専有面積を自動計算

単なる空撮写真と違って、3Dモデルは高さ情報を持っている。この情報を利用することで、ヤード管理はさらに高度化できる。

「例えば、資材ヤードの地表面の高さをブルー、それより高い部分をオレンジで表示することもできます。今後、システムを開発すればこのデータから、画像解析によってヤード面積の何パーセントに資材が置いてあるのかという占有率を自動計算することもできるでしょう。さらに時系列で情報を比較し、計画と実際の差異分析を行うなど、データがあれば分析での活用用途は広がります」と大脇氏は言う。

高さ情報を持った資材ヤードの3Dモデル

高さ情報を持った資材ヤードの3Dモデル

地表面をブルー、それより高い部分をオレンジで色分けした図。モデル形状解析を行えば、ヤードの利用率も自動計算することが可能だ

地表面をブルー、それより高い部分をオレンジで色分けした図。モデル形状解析を行えば、ヤードの利用率も自動計算することが可能だ

   海外現場の動きも手に取るように

三菱日立パワーシステムズでは、ContextCaptureを海外プロジェクトの現場でも活用している。火力発電所の造成現場や建屋などの建設現場を定期的にドローンで撮影し、3Dモデル化しているのだ。長崎土木建築課谷井上席主任は、取材当日、インドネシアからテレビ会議に参加しContextCaptureの活用状況を説明した。

そのわかりやすさは、インターネットを使ったテレビ会議でさらに効果は発揮される。

例えば、海岸付近の概略掘削施工計画および止水対策の議論の場では「仮に現状の法面勾配であと何m掘り広げると法肩が海岸線に重なり、海水流入リスクが増す」とか、「工事の邪魔にならない排水ルートはここを通した方がよいのでは」といった意見を、3D化した写真モデル上で寸法計測しながら工事関係者と情報共有し、スピーディーな現状把握と合意形成や意思決定を行うことができるという(谷井氏)。

従来の言葉や図面の説明だけでは、現場の状況を理解するのが難しいだけでなく、理解の内容も人によって違っていることもある。特に言葉が違う国の担当者に対しては、なおさらである。それが、ContextCaptureで作った現場の3Dモデルが1つあるだけで、すべて解決すると言っても過言ではないのだ。

さらに、設計BIMモデル(ArchiCAD / TEKLA Structures)の施工での有効活用を進めており、設計情報モデルとの重ね合わせを行うことで、杭の打設位置確認や、進ちょく管理、出来形確認も行っているという。

海外の現場とContextCaptureで作った3Dモデルを共有しながらの会議風景

海外の現場とContextCaptureで作った3Dモデルを共有しながらの会議風景

「3Dモデル自体が、共通外国語のような機能を担います。通信環境がよくなってきていることもあり、リモートや画面共有を使った打ち合わせが可能になったことで、このリアリティー・モデリングが遠隔地でのコミュニケーションに効果を発揮します。説明するときも多くを語る必要はなく、正確な内容が伝わり、その結果、従来よりスピーディーな合意形成や意思決定が行えます」と大脇氏は語った。

ContextCaptureは現場の現況を、正確かつスピーディー把握し、共有するためのツールとしても、建設業の生産性向上に寄与している。

三菱日立パワーシステムズのオフィスがある三菱重工横浜ビル

三菱日立パワーシステムズのオフィスがある三菱重工横浜ビル

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株式会社ベントレー・システムズ
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