クローズアップ「自然換気シミュレーション」
2012年5月29日

◆ 目的

高層ビルにおけるボイドや工場建屋などの換気に近年自然換気が用いられることが増えています。 機械換気にはエネルギー消費を伴うため、空間の規模の大きさを問わず積極的に自然換気を利用した方がエネルギーコスト面で有利でありCASBEE評価でもランクが向上するからです。 また節電やCO2削減の必要性が高まる中、消費エネルギー量を減らすために夏季での自然換気の重要性は大きく増すと考えられます。

◆ 自然換気シミュレーションのポイント

機械装置を用いた一般的な空調・換気シミュレーションと比して、自然換気を伴う気流シミュレーションの実現は実は容易ではありません。 自然換気シミュレーションでは、温度分布が実態どおりに計算できて温度分布の差から生じる体積力によって空気を動かし、適切な給排気量が再現されなければなりません。 実はよく使われるBoussinesq近似で体積力を単純に流体に加えるだけでは、流体の熱流動は実態どおりに計算できません。 空間内の風量バランス・熱量バランスの詳細なチェックをした上で、温度差換気の推進力となるBoussinesq近似による流体への体積力の寄与を正確に算出する必要があります。

◆ 本シミュレーションで出来ること

① 換気を必要とする空間の風速分布・温度分布・湿度分布・コールドドラフト・結露付着量・輻射熱伝達量などを詳細に予測する事が出来ます。 予測を元に空調機器の選定やガラリやモニターなどのサイズ・設置位置などを検討することで、より効果的な改善案の策定が可能になります。

 
断面温度分布 表面温度分布

断面温度分布(左)と表面温度分布(右) 表面温度分布

 
< 某清掃工場 >
空間全体の温度分布を元に換気モニターの位置や大きさを検討。 ボイラー周辺や点検歩廊周辺の熱環境は大きく改善された。

詳しくは、環境シミュレーションのウェブサイトで。

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