CPUを大きく上回るペースで高性能化が進むGPUの演算能力を、グラフィックス描画以外の処理に使う技術がGPUコンピューティングです。NVIDIAのMaximusは、高性能なGPUコンピューティング環境として、注目が集まっています。そこで、電報児の加藤崇史氏に、Adobe Creative Suite 6での動画制作における、Maximus搭載ThinkStation C30の威力を検証していただきました。
GPUコンピューティングを牽引するNVIDIA Maximus
GPU(Graphics Processing Unit)とは、グラフィックス描画に関する処理を行うチップだが、高性能化ペースが非常に速く、最近の高性能GPUはCPUを遙かに上回る演算能力を備えるようになっている。その高い演算能力を、シミュレー
ションやエンコード、画像処理、レンダリングといったグラフィックス描画以外の処理に利用しようという技術が、GPUコンピューティングであり、CPUだけでは時間がかかっていた処理を大きく高速化する技術として、注目が集まっている。
NVIDIAは、GPUコンピューティングを牽引しているGPUメーカーであり、NVIDIA Maximus(以下Maximus)と呼ばれる高性能GPUコンピューティングプラットフォームを提供している。Maximusは、グラフィックス描画を担当する「NVIDIA Quadroシリーズ」とGPUコンピューティング専用GPUである「NVIDIA Tesla」の2つのGPUから構成されるプラットフォームである。単一のGPUで行うGPUコンピューティングに比べて、遙かに高い性能を実現できることが魅力だ。
Maximusをいち早くサポートしたThinkStation
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Maximus構成のイメージ。 Quadro4000とTesla C2075を搭載している。 |
Maximusは、高い性能を誇るGPUコンピューティング環境だが、Maximus環境を正式にサポートしたマシンは多くはない。2枚のグラフィックスボードを搭載するので、電源ユニットや冷却システムへの要求が高くなる。そうした要求をクリアし、NVIDIAの公認Maximusワークステーションとして認定されているのが、レノボのThinkStationシリーズだ。Maximusを搭載可能なThinkStationは、スタンダードモデルの「ThinkStation S30」、コンパクトハイエンドモデルの「ThinkStation C30」、ハイエンドモデルの「ThinkStation D30」の3シリーズだ。ここでは、コンパクトハイエンドモデルのThinkStation C30を利用して、Maximusの威力を検証した。
モデルによって搭載可能なMaximusのコンフィグレーションは異なるが、ThinkStation C30では、Quadro 600+Tesla C2075、Quadro 2000+Tesla C2075、Quadro 4000+Tesla C2075の3種類の構成を選択可能だ。今回の試用機の構成は以下に示した通りで、Maximus環境としては、Quadro 4000+Tesla C2075を搭載している。プロセッサーも8コアのXeonプロセッサーを2個搭載するという、かなりハイエンドな構成だ。
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Maximusを搭載可能なThinkStation C30。800W電源を搭載する |
Maximusへの対応が強化されたCS6
Maximusを活かすには、アプリケーション側での対応が必要である。Adobeの最新クリエイティブスイート「Adobe Creative Suite 6」(以下Adobe CS6)は、数多くの機能強化が行われており、Maximusへの対応も強化されている。ここでは、Adobe CS6活用のプロフェッショナルである電報児の加藤崇史氏に、Adobe CS6におけるMaximusの効果を検証していただいた。
Adobe CS6は、数多くのアプリケーションから構成されているが、特にMaxmiusの効果が大きいアプリケーションとして挙げられるのが、映像・動画編集ソフト「Premiere Pro CS6」と映像作成ソフト「After Effects CS6」である。なお、今回の検証の結果は、2012年7月26日開催されたNVIDIAのGPUテクノロジ・カンファレンス「GTC Japan 2012」において「最新デジタル映像でのGPUコンピューティング活用事例」として紹介されている。
全文は、レノボ・ジャパンのウェブサイトで。