進化したArchiCAD 16、ThinkStation E31 SFFは最新BIMに対応できるか?
2012年9月18日

ThinkStation完全検証 ~進化したArchiCAD 16と、余裕で動く小型ワークステーション ThinkStation E31 SFF

BIM(建築3次元モデル)の代表的ソフトウェア「ArchiCAD」が新しくなり「ArchiCAD 16」となった。新バージョンでは新機能「モルフツール」を備え、最初の建築イメージの検討から実際の設計図面の作成まで同一ソフトウェア上で完結する。複雑な処理が必要なソフトウェアだが、レノボのワークステーション、ThinkStation E31 SFFは余裕で対応する。

新しい「ArchiCAD」に新しい「モルフツール」を搭載

BIMを実現する3D CADのひとつ「ArchiCAD」が新しくなった。新バージョン「ArchiCAD 16」には「モルフツール」を搭載し、プッシュ&プルなどの一般的なモデリング技術を搭載、直感的かつグラフィカルにカスタム形状の要素を作成可能となった。

ArchiCAD 16の「モルフツール」
 
ArchiCAD 16の「モルフツール」。形はさらに自在でテクスチャを貼り付けて現実的なものにすることもできる新しくなった。新バージョン「ArchiCAD 16」には「モルフツール」を搭載し、プッシュ&プルなどの一般的なモデリング技術を搭載、直感的かつグラフィカルにカスタム形状の要素を作成可能となった。

新しく搭載されたモルフツールには形状に制限がなく、辺、点、表面を移動して自由に形状を作成でき、全ての表面にテクスチャを貼り付けることが可能。GDLプログラミングや他の3Dプログラムから特殊な形状をインポートする必要もない。

ツールで作成されたモルフ要素は、本格的なArchiCADのコンポーネントで、すべてのArchiCADのビューと一覧表に表示される。既存のオブジェクトや要素または要素グループをモルフ要素に変換することも可能で、BIM環境のままモデリング操作が可能となっている。

また、「ArchiCAD 16」には他にも新機能があり、エネルギー評価機能を搭載した。これは建物を維持していく上で必要なエネルギーをシミュレーションして算出する機能。「グリーン」「環境」といったエコデザインの要素が不可欠な今日の建築プロジェクトに待ち望まれていた機能だ。

例えば建物のサイズや壁や構造体の材質、窓の配置や開口面積、日照時間によって建物を維持管理していくエネルギーは変化する。「ArchiCAD 16」では、エネルギー評価を動的に算出するため、窓や入口の開口部の設計を変更した場合に、すぐに必要なエネルギー評価を算出することができる。従来は建築設計とは別に計算していたものが同時に算出できるとあって、環境と建物の意匠の最適な組み合わせを見つけやすくなる。

新しい機能はこれだけではない。BIMコンポーネントコンセプトによりArchiCADに統合されたコミュニティデータベースのポータル(BIMcomponents.com)が利用できる。現実に存在する椅子やデスクといった家具のカスタムオブジェクトが用意され、実際に家具が配置された建物を正確に画面上で再現することが可能となった。

設計と同時にエネルギー評価も算出することができる オブジェクトをダウンロードできるポータル「BIMcomponents.com」
設計と同時にエネルギー評価も算出することができる オブジェクトをダウンロードできるポータル(BIMcomponents.com)。画面の椅子のデータがダウンロードでき、家具の配置がよりリアルにできる

新しい「ArchiCAD 16」には安定したマシンパワーが必須

新機能満載の「ArchiCAD 16」だが、よりスムースに操作するには相応の処理能力が求められる。モルフツールやオブジェクトでは今まで以上に3D処理が増えることになるため、クリエイティブな発想を現実のものにするためにさらに高い性能が求められる。特に3Dグラフィックの表示に高性能なワークステーションクラスのグラフィックボードが必須となる。

それだけではない。エネルギー評価機能の実現には複雑な計算処理を短時間に行うため、高い性能のプロセッサーを搭載できるワークステーションが作業現場には必要となっている。

そして、計算処理をし続けるためにはCPUの演算性能はもちろん必要だが、長時間に渡って正確に動作を続けるというワークステーション全体の安定性も必要となる。長時間に渡っての安定性や、どんなソフトウェアを使っても安心かつ安定して処理していく性能はなかなか数値化がしにくく、カタログにも載っていない性能だ。

高橋靖幸氏
カスタマーサービスエンジニアの高橋靖幸氏
グラフィソフトでは、レノボのThinkStation E30で以前の「ArchiCAD」を使い、ThinkStation E30は「素直な構成」と評価していただき、安定して動いているとの声をいただいた。グラフィソフトではその後、会社を移転し、より大きなセミナールームとなった今も引き続きThinkStation E30を活用しているが、今もその評価は変わることはないという。

そこで、今回もカスタマーサービスエンジニアの高橋靖幸氏に新バージョンの「ArchiCAD 16」と、新しいコンパクトなワークステーションのThinkStation E31 SFFの組合せを試していただいた。高橋氏によれば、問題なく動作しているとし、ThinkStation E31 SFFによって「ArchiCAD 16」がスムースに動いている様子を披露してくれた。

ArchiCAD 16をインストールしたThinkStation E31 SFF ThinkPad TabletでBIMxを試してみる
ThinkStation E31 SFFにArchiCAD 16をインストール、非常にスムースに動いているとのことだ BIMxが新しくAndroidに対応、ThinkPad Tabletで3Dでのウォークスルーを試してみる
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