大林組がスマートBIM cloudとBIMx Docsの本格運用を開始
2014年8月26日

株式会社大林組 建築本部PDセンター

大林組がスマートBIM cloudとBIMx Docsの本格運用を開始 ArchiCADを軸にBIM活用を全社展開

大林組は2014年4月、BIMのモデルデータを、GRAPHISOFT BIMcloudを核とするクラウドコンピューティングによって共有するシステム「スマートBIMクラウド」と、iPad/iPhoneで動作するArchiCAD用のBIMモデルビューワー「BIMx Docs」の運用を開始した。グラフィソフトジャパンの意匠設計用BIMソフト「ArchiCAD」を軸とし、他社の様々なBIMソフトと連携しながらコラボレーションする体制が本格的にスタートした。

将来起こりそうな課題を設計段階で発見できる

「スマートBIMクラウドにより、設計中のBIMモデルを社内で共有し始めてから、これまで施工段階で顕在化していた課題を設計段階で発見できるようになりました」と大林組建築本部PDセンターBIM推進第一課の和田一課長は語る。「着工前にプロジェクト関係者が課題を認識して事前に対策を検討できる効果は大きく、生産性と品質の向上につながっています」(同)。 スマートBIMクラウドは、BIMの組織的な活用を推進する大林組がグラフィソフト、日本電気(NEC)とアライアンスを締結し、GRAPHISOFT BIM Server(現在では、GRAPHISOFT BIMcloud)を核とし、2011年8月から2年がかりで開発したBIM用のクラウドシステムだ。設計事務所やゼネコン、サブコンなど、建設プロジェクト関係者が相互にセキュアで円滑な情報共有を実現するため、BIMの建物情報を共有し早期に合意形成を図るために開発された。 グラフィソフトは意匠設計用のBIMソフト「ArchiCAD」のベンダーとしての技術、NECは大規模クラウド構築の実績とノウハウ、そして大林組は設計・施工における豊富なBIM導入実績を生かした。2013年に完成したスマートBIMクラウドは、2014年4月、ついに本格運用が始まったのだ。

「スマートBIM」クラウドを導入した大林組の現場「スマートBIM」クラウドを導入した大林組の現場

協力会社ともBIM で情報共有

大林組建築本部PDセンター企画管理課の中沢英子課長は、「スマートBIMクラウドの運用開始後、80のプロジェクトで活用されています。各プロジェクトのユーザーが平均10人前後ですので、のべ約800人が活用しています」と説明する。 スマートBIMクラウドの特徴は、大林組の社員だけでなく、協力会社も業務内容に応じてアクセスできることだ。最新の設計情報が瞬時に共有できるため、古い図面や仕様のままでの施工や設備の製作を行ってしまうようなミスを防げる。 「2年ほど前から、設備協力会社とのBIMによるコラボレーションを行っていましたが、モデルデータの受け渡しが煩雑でした。スマートBIMクラウドの導入により、直ぐに始められるので、さらに活発になっています。例えば、サブコン自らがクラウド上の建築モデルを積極的に参照し、設備の施工図作成に生かしたりしています」と大林組建築本部PDセンターの本谷淳部長は説明する。

スマートBIMクラウドの運用イメージスマートBIMクラウドの運用イメージ

スマートBIMクラウドの開発体制スマートBIMクラウドの開発体制

iPad とも連携し、BIM モデルをどこでも見られる

スマートBIMクラウドは、BIMを組織で活用するために必要な様々な機能を持っている。まずは「オンデマンドな情報取得による早期合意形成」だ。設計や施工、竣工などプロジェクトのあらゆる過程で、建物の3次元情報をインターネットやイントラネットを通じてプロジェクト関係者が見られる。 そして、タブレット端末の「iPad」とも連携する。ArchiCADで作成されたBIMモデルは、BIMモデルビューワー「BIMx Docs」を使って、いつでも、どこでも、常に最新のBIMモデルを確認できるのだ。 スマートBIMクラウドのもう一つの大きな機能は「大量データの効率的活用による建物品質の向上」だ。社内外のプロジェクト関係者が、建物に関係する大量のデータベースを効率的に利用し、スピーディーで正確な情報連携が行える環境が整った。 「クラウド上のデータベースには建物モデルのほか、設計プロセス、調達や各種シミュレーション情報など、建物にかかわる様々な情報が1カ所で管理される。これにより、円滑な工程の進捗と品質の向上が可能になります。BIMモデルがいろいろなパソコンやサーバーでバラバラに管理されていると、情報を探すだけでかなりの時間的なロスが出てしまいますが、一括管理によってその無駄もかなり削減できます」と、大林組 建築本部 PDセンターの宮川宏 所長は語る。 過去に作ったB I Mモデルを将来のリニューアル工事に活用する道も開けてきた。「既存ビルの地下室や基礎を生かしながら、ビルのリニューアルをする例も増えています。BIMモデルがあることで、リニューアルに伴う構造計算も行いやすくなります。また、3Dレーザースキャナーで計測した点群データも、スマートBIMクラウドでプロジェクト関係者が共有できます」と、宮川所長は続ける。

iPad上に表示された図面iPad上に表示された図面

続きは、グラフィソフトジャパンのウェブサイトで。

(Visited 1 times, 1 visits today)
関連記事
Translate »