高温、大騒音の熱源機械室を、 短時間で安全、確実に計測
BIMとも連携し、リニューアル工事を大幅に効率化
2014年9月8日

過酷な環境で行われる熱源機械室のリニューアル作業

オフィスビルやホテル、病院などの冷暖房を担う空調設備のリニューアル工事は、建物を稼働させながら設計や施工計画を立てながら、あらかじめ工場で工事に必要な機器や部材を作っておきます。そして、空調が不要となる春や秋の「中間期」と呼ばれる数週間に、既存の設備を撤去し、新しい機器を取り付けて運転再開を行う必要があります。

「特に空調用の冷水や温水を供給する熱源機械室の内部は高温で、大きな騒音が発生しています。こうした過酷な環境下では、人間の集中力は1時間ほどしかもちません」と日比谷総合設備株式会社(以下、日比谷総合設備)工事統括部の東一聡課長は語ります。工事用の図面を作るために、数人がメジャーなどによって熱源機械室の内部や既存の機器などを計測する作業は、休憩のための中断が必要でした。

そこで日比谷総合設備は、既存設備の計測にFARO Laser Scanner Focus3Dを2011年末に導入しました。「その結果、リニューアル作業における既存設備の計測作業をわずか1時間で行えるようになり、計測作業は大幅に効率化しました」と東課長は説明します。

FARO Focus3Dを選んだのは、やはりリーズナブルな価格が第1の決め手となったということです。点群データの処理ソフト「FARO SCENE」も付属しています。また、狭い熱源機械室などを少人数でいろいろな角度から計測するためには、小型・軽量のFARO Focus3Dは好都合だったのです。

高所作業が不要となり短時間で安全、高品質の計測

熱源機械室

(左図)熱源機械室の点群データ。写真のように見えるが各点が3次元座標を持っているため、パソコン上で必要な部分の寸法を計測可能

FARO Focus3Dの導入は、空調設備のリニューアル工事にさまざまなメリットをもたらしました。限られた人員により、短い計測時間の中で、安全かつ高品質の計測が可能になったのです。

例えば、高所作業が不要になりました。熱源機械室などは吹き抜け構造になっている部分が多く、これまでは計測のために足場を組んだり、高所で作業したりする必要があったのですが、FARO Focus3Dの導入によって、ほとんど不要になりました。

作業の手戻りもなくなりました。メジャーなどによる計測とメモによる記録では、どの部分の寸法を表しているのかが後でわからなくなり、再び現場に出掛けて寸法を測り直すこともありました。しかし、FARO Focus3Dで点群データをとっておけば、パソコン上で必要な寸法は何度も確認できるので、いちいち現場に出掛ける必要はないからです。

日比谷総合設備はFARO Focus3Dに付属している点群処理ソフト「FARO SCENE」も活用しています。ボイラーや冷凍機などに隠れた機器や配管などを余さず計測するためには、FARO Focus3Dの設置位置をいろいろと変えて計測する必要があります。これら複数の点群データを1つにまとめて熱源機械室全体の点群データを作るのに、SCENEの点群合成機能が大いに役立っています。

点群の合成には「マーカー」と呼ばれる複数の球を現場に設置し、この位置を目印に点群同士を合成します。「この作業も数回行うと1人でできるようになります。SCENEにはマーカーを自動認識し、点群を高精度で位置合わせする機能も持っているからです」と同社工事統括部の下田中龍宏氏は語ります。

(上図)現況設備のBIMモデル (下図)改修後のBIMモデル

(上図)現況設備のBIMモデル (下図)改修後のBIMモデル

BIMとの連携で設計や施工計画を見える化

日比谷総合設備では、従来の図面に代わり、コンピューター上に設備の3Dモデルを構築しながら設計を行うBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入しています。

FARO Focus3Dで計測した熱源機械室などの点群データを基に、ダイテックの設備用BIMソフト「CADW’ell Tfas」で現況設備のBIMモデルを作成。これを基に設備の改修計画や設計を行っています。

改修工事の設計をBIMで3D化することにより、その内容はとてもわかりやすくなります。「ウォークスルー」という機能を使って工事着手前の段階で、完成後の機械室内部を歩き回るようにして確認することも可能です。そのため発注者や下請け会社などの工事関係者が工事の手順や内容を理解しやすくなります。その結果、工事もスピーディーに着手できるのです。

続きは、FAROのウェブサイトで。

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