Tekla News 2014 秋号 発行
2014年9月23日

お客様各位、

日頃のご愛顧誠に有難うございます。

テクラニュース2014秋号をお送り致します。今号ではこの夏にブラジルで開催されたサッカーの世界選手権大会の舞台となった大型スタジアムの事例や、大型ショッピングモールでのBIMプロジェクトの進捗状況をはじめ、リリースから20周年の節目を迎えた新バージョンTekla Structures20、無償のコラボレーションソフトウェアTekla BIMsight1.9の新機能とその特徴などをご紹介致します。

テクラニュース編集部一同

 

 

Technip社、テクラのBIMソリューションを世界規模で導入

 

フランスの大手エンジニアリング会社であるTechnip社は、産業プラント向けのEPC事業において、モデルベースの設計手法とワークフローを実行するための構造BIMソリューションとしてTeklaStructuresを選択しました。同社は48か国で4万人の従業員を抱え、エネルギー関連プラントのエンジニアリングやプロジェクト管理、建設の分野で世界をリードしています。今後、世界的な規模でテクラと連携し、BIMの導入を進めていく予定です。

具体的な事例やニュースが発表されましたら、随時テクラニュースにてご紹介致します。

 

藁かごをモチーフにした複雑な構造を持つ、新しいアレーナ・アマゾニア

 

2014年夏、ブラジルで開催されたサッカーの世界選手権大会の舞台となった12会場のうち、10カ所のスタジアムでTekla Structuresが使用されています。

そのひとつであるアレーナ・アマゾニアは、4万4千席を超える収容観客席数を擁します。アマゾン川流域に位置するマナウスの先住民族の特産品である藁かごにインスピレーションを得たドイツのGerkan, Marg und Partner社(GMP)がスタジアムを設計し、Martifer Construções社(以下、Martifer社)がその建設を見事に実現しました。

Martifer社は2012年11月にこの鋼構造物の建設に着手し、2014年3月にスタジアムを完成させています。大会終了後は、コンサートなどの様々なイベントに利用される予定です。

スタジアムの周りを囲む鉄骨は、2万3千平方メートルの面積を持つ屋根を形成しています。使用した鋼材は7千トンで、ねじれを含んだ形状のH鋼とアングル材、プレートで構成される主構造とサブ構造は、31メートルの高さまで伸びています。ピッチを覆う鋼構造は、半透明の白いテフロン(PTFE)膜で覆われており、これは熱帯地域のスタジアムには不可欠である温度調節の役割を果たしています。

革新的な形状を持つこのスタジアムを期限内に完成させるため、Martifer社はテクラのソフトウェアを採用しました。その効果的な活用によって、業務効率は30%アップ、生産性は20%向上し、タイトなスケジュールでのスタジアムの建設が可能になりました。同社が必要とする機能を備えたTekla Structuresは、資材搬入計画の管理や短納期でのプロジェクトの完了を確実にするための要件を満たしていました。

Martifer社ではこれまで14年間にわたってTekla Structuresを活用しており、製作の様々な工程の完遂に不可欠なソフトウェアとして厚い信頼を置いています。スタジアムの3次元モデルからは、2次元の図面の他、CNCデータや材料一覧の帳票を出力して利用しました。さらに製作や仮組み、最終組み立ての各工程で利用する目的で、形状の座標情報と静的荷重や部分荷重などの情報を表記した特殊なレポートも生成しました。最終的には、鉄骨梁の形状の検証にもテクラの3次元モデルを活用しています。

 

Strängbetong社とRamboll社、プレキャストコンクリートの設計から製作まで効率的なコラボレーションを実現

 

スウェーデンのストックホルムに建設中の大型ショッピングセンター「モール・オブ・スカンジナビア」は2015年に竣工予定で、完成すればスカンジナビア半島最大規模のショッピングセンターになる見通しです。この建物には、柱やサンドイッチパネル、中空スラブなどに多くのプレキャストコンクリート部材が用いられており、天井部分に作られた採光用の窓や、ライト設置用のくぼみをつけた部材の製作には難易度の高い技術が求められます。プロジェクトの計画段階で、12万5千トンのコンクリートと3万5千個のキャストユニットの設計及び施工には、膨大な工数が必要となることが想定されました。

そこでBIMに精通したSträngbetong社とRamboll社はパートナーシップ契約を結び、TeklaStructuresのBIMモデルと図面作成機能を活用して情報を共有しながら、部材の設計から製作に至るまで、会社の垣根を越えた効率的なコラボレーションを行うことを決断しました。

Strängbetong社では、Tekla Structuresのコンポーネント機能を効果的に活用しており、同社のBIMマネージャーを務めるTobias Svenberg氏は次のように語っています。「データベースには標準的なコンポーネントが揃っており、テクラでモデルを作成する際には、インサートなどをデータベースから選択して配置する操作を行っています。Tekla Structuresの導入により、手作業でのモデリング業務を大幅に削減でき、モデルと情報の品質を飛躍的に向上しています」

Ramboll社は、いつどの部材が組み立てに必要なのかを設計段階で把握できることが、テクラを活用するメリットのひとつだと考えています。さらに、設計から製作までに限らず、その後の現場搬入にまでBIMを活用しています。

「スカンジナビアモールの建設現場は関係者の出入りが多く、搬入が大きな課題になっています。建設業者は部材の納品にあたって、運搬車を現場に入れるタイミングに合せて事前に正確な時間枠を確保する必要があります。まるで飛行機の着陸スケジュールを組むような作業です。」と、Ramboll社の構造設計部門マネージャー、Peter Karlsson氏は言います。

この大型プロジェクトは、プレキャストコンクリート構造を担当するSträngbetong社とRamboll社、鋼構造を担当するRuukki社、設計施工を請負うPeab社をはじめとする様々な会社のコラボレーションによって成り立ち、その手段としてBIMが最大限に活用されています。

 

 

Tekla Structures 20の新機能

 

今春リリースしたTekla Structures 20は、これまで以上に効率的で体系的な建設ワークフローの実現を目指し、より詳細な情報を扱うことができるようになりました。この新バージョンでは、モデル分類やタスク管理、干渉チェックなどの機能がさらに強化されています。

スムーズなワークフローの実現

昨今の建築に必要とされる、竣工レベルのあらゆる建設情報をより容易に管理するため、Tekla Structures 20ではさらなる改善を施しています。より直感的な操作を実現するオーガナイザーは、モデル情報管理の効率化や自動化を促進し、タスク管理によって詳細設計から製作、現場の建て方計画を統合的に管理することが可能になります。干渉チェックマネージャは、干渉箇所の優先順位の決定や伝達、作業の割り当て、調整に役立つツールです。着工前に干渉箇所を検出し解消することで、現場での不具合による工期遅延や手戻りによるコストの発生を未然に防ぎます。

プレキャストコンクリートの直感的なモデリング機能

Tekla Structures 20は、プレキャストコンクリートのファブリケーターに最適なモデリングや詳細設計の生産性を高めるための新機能を搭載しています。工程管理機能の強化により、モデルの分類や製造工程計画の正確な管理、購買業務のさらなる効率化を促進します。個々あるいはグループ化した鉄筋や溶接金網の編集もこれまで以上に迅速かつ容易に行うことができ、干渉チェック機能の向上によって、モデル内で鉄筋のクリアランスのチェックや、位置の調整を容易に行えるようになります。

 

正確な溶接形状

鋼構造の設計、製作において重要な溶接の機能として、溶接ビードの正確な形状をモデル上にソリッド表示し、同時に溶接形状を容易に作成する機能が加わりました。これにより今まで以上に効率的かつ生産的なモデリングを行うことが可能になります。

 

 

 

設計・施工・運営 (DBO) ワークフローを強化したTekla BIMsight 1.9

 

Tekla BIMsightは、「モデルの統合」「干渉チェック」「コミュニケーション」という3つの要素を強化したコラボレーションソフトウェアです。意匠モデルの作成やコミュニケーションのツールとして、世界的な人気を誇る3次元モデリングソフトウェアであるSketchUpのフォーマットに加え、機械系3次元CADで普及している共通フォーマット(IGES、STEP)もサポートし、より効率的で幅広いBIMコラボレーションを実現します。 

SketchUpのフォーマットをサポートするTekla BIMsight1.9は、Trimble Buildingsグループが提供するDBO(Design:設計、Build:施工、Operation:運営)プラットフォームにおいてカギとなるこの2つのソフトウェアアプリケーション間の連携を強化します。Trimble社が構築するTrimble Buildingsグループは、プロジェクト関係者間のコラボレーション強化による建設業界の生産性向上を目的とし、直感的でアクセシビリティの高い、革新的なソリューションを提供することに注力しています。

Tekla BIMsightは、建設プロジェクトで使用される様々な構造形式や材質に対応しており、新バージョンでは、RC構造向けの新機能・改善機能として、鉄筋の寸法作成機能や、鉄筋コンクリートモデルの干渉チェック機能の向上を行いました。

さらなるグローバル化に向け、従来の6言語(英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、簡体字中国語、日本語)に加え、新たに韓国語、繁体字中国語、オランダ語、イタリア語、ロシア語の5言語が追加されています。

Tekla BIMsight1.9は、ウェブサイトより無償でダウンロードいただけます。

ダウンロードの詳細はこちら

詳しくは、テクラのウェブサイトで。

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