ArchiCAD 18でP300とP500を試す
2015年3月9日

ThinkStation完全検証 ~BIMcloudを統合、ArchiCAD 18でP300とP500を試す

BIMソフトの定番中の定番となったArchiCADが「ArchiCAD 18」となって新登場した。新バージョンでは「BIMcloud」機能の充実により、コラボレーション機能が従来よりも飛躍的に使いやすくなったほか、機 能追加やレンダリングエンジンの変更が行われている。新しいArchiCAD 18とベストマッチなThinkStationシリーズについて、グラフィソフトジャパン株式会社様にお話を伺った。

ArchiCAD 18のパッケージ
ArchiCAD 18のパッケージ

「BIMcloud」でコラボレーションの幅を広げる

ArchiCAD 18のトピックはまずはBIMcloud(クラウド)の統合。従来からArchiCADはBIMサーバーを使ったチームワーク機能が充実していたが、それ をさらに進化させ、小規模から大規模なコラボレーションまで柔軟に対応可能となった。アクセスできる端末はPCだけに限らず、タブレットなどのモバイルデ バイスから操作可能になった。
例えば、複数の拠点からサーバーにアクセスを行う大規模なコラボレーション環境では、ArchiCAD 18では「デルタキャッシュ」と呼ばれる仕組みを導入した。
キャッシュサーバーを各拠点に配置すれば、作業を行うクライアントPCは拠点のキャッシュサーバーにアクセスするだけで済むため、データへのアクセス速度 は向上する。キャッシュサーバーはメインのサーバーと通信して絶えずファイルを最新にしているため、クライアントPCからはアクセスするファイルは常に最 新のものとなる。しかも、サーバーから離れた拠点からでもアクセスは快適で、回線も効率的に無駄なく利用できる。

一方、BIMにさまざまな要素が取り込まれると、ArchiCAD上の図面を閲覧する人の数が増えてくる。非常に大ま かな数字だが、図面を見る人の数は設計する人の100~200倍となることが見込まれる。その中にはタブレットをはじめさまざまなデバイスを通して現場で 図面を確認する人もいる。
BIMcloudはVPNを使わずセキュアなアクセスを実現するため、現場でタブレット等のモバイルデバイスからも最新かつ詳細な図面の照らし合わせが容 易になる。もちろん柔軟かつ強固なセキュリティ機能により、例えば協力会社スタッフによる図面へのアクセスも必要なセキュリティレベルを設定して可能にし ている。

ArchiCAD 18の説明をいただいた グラフィソフトジャパン株式会社 プロダクトマーケティング 駒井英吾氏
ArchiCAD 18の説明をいただいた
グラフィソフトジャパン株式会社
プロダクトマーケティング 駒井英吾氏
BIMcloudサーバーをBIMcloudマネージャで管理、デルタキャッシュシステムによりクライアントPCからは最新の情報にアクセスできる。ユーザーがアクセスできる範囲などセキュリティレベルもBIMcloudマネージャでまとめて管理できる
BIMcloudサーバーをBIMcloudマネージャで管理、デルタキャッシュシステムによりクライアントPCからは最新の情報にアクセスできる。ユー ザーがアクセスできる範囲などセキュリティレベルもBIMcloudマネージャでまとめて管理できる
BIMcloudのシステムレイアウト。サーバーが複数に渡ってもBIMcloudマネージャでまとめて管理。クライアントPCからはデルタキャシュシステムによりいつでも最新ファイルにアクセスできる
BIMcloudのシステムレイアウト。サーバーが複数に渡ってもBIMcloudマネージャでまとめて管理。クライアントPCからはデルタキャシュシステムによりいつでも最新ファイルにアクセスできる

ArchiCAD BIMcloud — 制約のないBIM (グラフィソフトのWebサイトへ)

バックエンドのスケーラビリティも進化

従来はBIMサーバーを運用してチームワーク機能を使う場合、データ容量が増大していくと、サーバーを停止させてディ スクの増設などを行わなければならなかった。完全にBIMを使わない時間帯があればよいが、連続して作業が行われている場合や、時差のある地域からのアク セスを見込んだ場合は、そのメンテナンスのタイミングが非常に難しいという問題があった。
ところがBIMcloudでは機能を止めずにストレージを追加するなど、スケーラビリティという点で進化した。

なぜデータの容量にこだわるかというと、3D CADソフトが進化するに従い、より詳細なモデルを作る→データ量が大きくなるという傾向があり、それに伴って取り込む要素も増え、さらにデータが増え、 プロジェクトデータが日に日に大きくなっている事情がある。実際のデータの増加は使い方次第だが、ひとつの目安として、ArchiCADで扱うデータの想 定は3年前の5倍のサイズとなっている。
また、サーバーの構築についても柔軟性が増した。BIMcloudで使うサーバーは自社に置いてプライベートクラウドとして利用するほか、データセンター に設置することもできる。ArchiCADでは一部の仮想サーバーサービスの利用もサポートしている。
そして、さまざまな場所のサーバーを統合的に管理しやすくなったことも新バージョンの特徴となる。

管理画面では、プロジェクト等によってアクセスできる権限を細かく設定可能。現場から容易に図面にアクセスできるメリットとセキュリティを両立できる
管理画面では、プロジェクト等によってアクセスできる権限を細かく設定可能。現場から容易に図面にアクセスできるメリットとセキュリティを両立できる

「改訂管理」や新レンダリングエンジンの搭載

BIMcloudの進化はどちらかというとバックエンドの進化となるが、ArchiCAD 18では設計者向けの機能でも進化が遂げられている。
そのひとつが「改訂管理」機能となる。これは単なる変更履歴と思われがちだが、変更したことによる、全体への影響を管理する機能となる。例えば建物の壁を 変更した場合、変更履歴では壁を変更したことがわかるだけだが、「改訂管理」では、壁を変更したことによって全体に影響するところがすぐわかるようになっ ている。
また、改訂管理の機能はカスタマイズでき、変更マネージャと変更ツールを使って改訂の記録を文書化することもできる。BIMのワークフロー全体に統合されたものとなるため、プロジェクト全体を通して変更の記録を統合的に管理できる。

CINEMA 4Dレンダリングエンジンの搭載により光の設定が豊富になった
CINEMA 4Dレンダリングエンジンの搭載により光の設定が豊富になった

そしてArchiCAD 18のもうひとつの大きな進化がCINEMA 4Dレンダリングエンジンの搭載。詳しくはArchiCAD 18のWebサイト等で説明動画を見てほしいが、光の設定が豊富になったほか、材質設定も充実、従来よりも高品質でフォトリアリスティックなイメージ、わ かりやすく言えば実際の建物と並べてそっくりなイメージを再現できるようになっている。

光の設定によってさまざまな表現が可能になった

続きは、レノボ・ジャパンのウェブサイトで。

 

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