文明の3Dデジタル化、文化遺跡保存をサポート

2018年1月16日

「消えゆく」文明の3Dデジタルドキュメント化、 時間との闘い – FARO、文化遺跡保存をサポート

「消えゆく」文明の3Dデジタルドキュメント化、 時間との闘い – FARO、文化遺跡保存をサポート

FARO ScanArmは、青州博物館プロジェクトで他の文化遺跡のスキャンにも使用された。

緻密に削られた洞窟、仏塔や寺院、石碑や石像が散りばめられた記念碑など、史跡に感嘆の声を上げる時、その場所に関わらず、人は、環境が静かにゆっくりと非可逆的にその美しさ全てを摩耗していきつつあるという事実に気が付くことは少ないでしょう。肉眼でははっきりとは分かりませんが、最大限の注意が払われている博物館に置かれた歴史的遺物でさえも、同じことが言えます。時間の経過につれて、卓越した価値を持つこれらの文化遺産は継続して劣化し続けるという事実を、考古学者や自然保護活動家は受け入れなければなりません。

かつて、文化遺跡考古学のデジタル処理技術は、絶対に必要ではないが、あれば喜ばれる飾りのようなものだと考えられてきました。しかしながら、現在、デジタル処理技術は考古学者の基礎作業工程の根幹となっており、情報を記憶する重要な手段となっています。文化遺跡のデジタル化により、人類は正確に遺物を記録できるようになり、モノの歴史的、文化的、技術的価値と共にその情報を後世へとデータという永続的な形態で伝えることができるようになりました。

中国の浙江大学文化遺跡研究所は、2010年3月12日に設立されました。創立より、研究所はデジタル考古学、地球物理考古学、文化遺跡保護資料の研究と応用のような分野で素晴らしい実績を残してきました。2016年、政府の承認を得て、中国文化遺跡局の主要科学研究ベース(浙江大学)が設立され、洞窟寺院の文化遺跡をデジタル化し、保存するという国家ミッションに着手しました。

研究所のデジタル化チームは、長期に渡り、科学的な調査と考古学的実践を組み合わせることに取り組んでおり、利用可能な最新技術を駆使し、その結果の真実性と確固たる科学的根拠を追求するため、常に懸命に努力してきました。最近になり、チームは、様々なスキャンプロジェクトの要件を満たすためにFAROScanArmとFARO Focusを使用し、文化遺跡を非常に忠実にデジタルで保存するという素晴らしい功績を残しました。

西安富森の石碑 – 博物館デジタル化プロジェクト

西安富森の石碑博物館コレクションのための、文化遺跡のデジタル化を依頼された時、浙江大学文化遺跡研究所のデジタル化チームは、まず最初にFARO ScanArmを使用しました。3Dデジタル化プロジェクトでは、元の石碑のレプリカを再現するため、チームは石碑からデータを取得する必要がありました。これは無理難題でした。なぜなら、石碑の表面には小さな文字で狭い空間―ほんの2~3cmの間に莫大な数の文字の碑文が刻まれており、複雑なはねや書道のスタイルなどの特徴もデータ取得しなければならなかったからです。これは、彫刻の概要や深さを非常に正確に記録しなければならないことを意味しており、よって石碑のスキャンに使用されるスキャナーは高精度なデータが取得できるものである必要がありました。

プロジェクトの初期段階で、チームはカメラ式スキャナーの使用を検討していました。しかし、石碑と碑文は基本的に6面立方体だったため、この方法を使うと、チームは様々なアングルから複数回スキャンしなければなりませんでした。また、スキャン工程中に重要な情報に洩れがないかどうかを見分けるのは非常に難しいと思われました。何より重要なことに、この方法だと、接合したデータの精度を保証できませんでした。

プロジェクトチームは、リースでFARO ScanArmを試すことに決め、結果に非常に満足しました。ブルーレーザー技術を搭載したFARO ScanArmは、1回のスキャンで1秒間に約56万点のデータを取得し、さまざまな材質の表面も、非常に高い精度でスキャン可能です。作業員は石碑のスキャンに漏れがないかどうか、スキャンしながらモニターで確認することが可能です。ScanArmを使用すると、1枚の石板に必要なスキャンは、表と裏の2回だけで、石版全体の完全なデータが取得できました。

この経験後、浙江大学文化遺産研究所は2014年にFAROScanArmを正式に導入しました。それ以来、チームは山東省の青州博物館での仏像に関わるデジタル化プロジェクトや、様々な博物館のコレクションからのその他の文化遺跡で、スキャナーを何度も使用しています。

石碑をスキャンするチームメンバー

FARO ScanArmを使い、西安富森の石碑プロジェクトで石碑をスキャンするチームメンバー。

浙江大学文化遺跡研究所のアシスタントディレクターであるDiaoChangyu教授はこう述べています。「銘文、碑文や特に複雑な石仏像のような精巧な石器については、我々は3Dスキャナーの使用が必須であると考えています。FARO ScanArmは、届きにくくスキャンが困難な場所でも詳細をデータ取得でき、1回のスキャンで完全なスキャンデータを得ることができます。我々は素晴らしい一貫性のあるデータを取得でき、より高いレベルの精度を達成できたことは、非常に素晴らしいことだと思っております。石像の中には、非常に薄く、浅く、肉眼ではほとんど見えないような消えかかった沈み彫りの線があるものもありました。しかしながら、スキャンで取得したモノクロの3Dモデルでは、このような線もはっきりと表示されていました。考古学にとって、これは非常に重要な技術です。」

東千仏洞の非常に忠実なデジタル化

FARO ScanArmとは別に、浙江大学文化遺跡研究所では、広範囲にわたる対象物の3Dスキャン取得のため、2015年にFARO Focusも導入しています。

甘粛省の瓜州県に位置する東千仏洞は、敦煌市近辺にある中国の数多い洞窟の1つです。このプロジェクトでは、浙江大学文化遺跡研究所には2つの主な任務がありました。それは、洞窟がある場所の地形をマップ化し、記録することと、壁画の画像を収集することでした。

東千仏洞の空中オルソ画像。

東千仏洞の空中オルソ画像。

地形測量には、無人航空機からの空中写真と、FARO Focusで収集したデータを組み合わせる方法を採用しました。3Dレーザースキャンデータ、航空写真とその画像をもとにした3Dモデルを組み合わせ、チームは地形のカラー3Dモデルを作成しました。オルソ画像は3Dモデルに基づいており、図の各ポイントは正確高度情報のデータと地上GPS座標に基づいています。

壁画の非常に忠実なデジタル化に関しては、写真をもとにした3DモデルとFARO Focusで取得したデータを組み合わせる技術を採用しました。壁画のデジタル化にほぼ20年の経験を有する浙江大学は、写真をもとにした3Dモデリング技術を開発しています。チームは、洞窟の壁と壁画を3Dオブジェクトとして扱わなければならないことを理解していました。なぜなら、壁や壁画は一般的にある程度湾曲し、様々な起伏や、ひび割れもあるからです。このような理由から、プロジェクトチームは、写真をもとにした3Dモデルとレーザースキャンからの3Dモデルを組み合わせた効果が実現できることを期待していました。

FARO Focusで取得した第7洞窟の点群データ。

FARO Focusで取得した第7洞窟の点群データ。

FARO Focusを導入する前、洞窟の寸法情報を取得するためにトータルステーションに依存していました。取得したデータと何千枚もの写真を利用して、より正確なモデルを計算によって作成していました。この方法の大きな欠点は、洞窟の形状はトータルステーションの数十ポイントからうまく構成可能だったのですが、正確な計算に必要なポイント数となると、数千から数億にもなることでした。トータルステーションからのポイント数に対して、これは実現不可能でした。より真実に近いものにするため、もっと優れたソリューションを探すことにしたのです。

FARO Focusは市場を牽引するレーザースキャナーであり、大型建造物の外観や周辺環境を1秒間に976,000点の速さでスキャンしデジタル化します。このプロジェクトでは、スキャナーが洞窟の壁表面の曲線情報を正確にデータ取得し、点群データは濃淡値を保持できました。これにより、チームはプロジェクトの後期段階でデータ検証を確実に実行することができたのです。

壁画のデジタル化において、チームはまずFARO Focusで取得したデータを使い、正確な洞窟の3Dモデルを作成しました。その後、自分達で作成したソフトウェアを使い、3Dモデル上で写真の自動マッピングを可能にし、カラーで壁画の高解像度デジタルデータを取得しました。その結果、壁画のデジタル画像品質は300dpiよりもはるかに高い解像度になりました。

3Dレーザースキャナーを使い、東千仏洞石窟をスキャン。

3Dレーザースキャナーを使い、東千仏洞石窟の第7洞窟をスキャン。

マルチ画像3D再現とFAROスキャンデータのキャリブレーション後の3Dモデル。

マルチ画像3D再現とFAROスキャンデータのキャリブレーション後の第7洞窟の3Dモデル。

泉州湾の宋代の古船をデジタル化

浙江大学文化遺跡研究所は、他の考古学プロジェクトでも、FARO Focusを幅広く使用しています。もう1つの注目に値するプロジェクトに、泉州湾の宋代古船の3Dデジタルドキュメント化があります。

泉州湾の宋代古船は1974年に発掘され、現在、泉州海洋博物館で保存されています。全長24.20m、幅9.15mの木製の中型海洋帆船は、宋代に泉州で建設されたものです。復元後、帆船は全長34m、幅11mとなり、予想排水量は400トン、積載可能量は200トンにもなりました。

その大きさ、時代や比較的良い保存状態を考えると、この船は太古の船で、中国では文書による裏付けが十分にある考古学的発見の1つです。この船は「海のシルクロード」を無事定期航行し、中国へ戻ることができた唯一の海洋船だったと推測されています。

船の船体は、さまざまな要因から激しく損傷しており、保護のため科学的根拠の構築を促進するために、現状をデータ取得する必要がありました。浙江大学文化遺跡研究所がサポートを依頼される前、2社の他の企業が船のデジタル化に手を貸そうとしましたが、期待される結果は得られませんでした。

このプロジェクトで、チームはまず船体のスキャンにFARO Focusを使い、部分的な高精度3D点群データ取得を行いました。さまざまなアングルからスキャンをした後に、比較的完全な船体の3D点群データを得ることができました。そのデータに基づき、船体の正確な3Dモデルを構築しました。それと同時に、チームはさまざまなアングルから何百枚も船体の写真を撮影しました。研究所の自己開発ソフトウェアに取り込むと、写真は自動的に船体の3Dモデル上にマッピングされ、詳細で正確な形状の古船の最終3Dデジタルデータが作成されました。

FARO Focusで船体をスキャン。

FARO Focusで船体をスキャン。

Diao教授はこう締めくくっています。「我々は2001年より考古学においてレーザースキャナーを使用しており、数多くのスキャナーメーカーに出会いました。FARO Focusの総合的性能は、我々の用途に最適です。最大の利点はその携帯性の高さでしょう。

古船を上から見たオルソ画像マップ。

古船を上から見たオルソ画像マップ。

緊急プロジェクトがある時、担当者1人がこのスキャナーを現場に持参してスキャンを行うことができるのですが、これは他のスキャナーでは困難です。同時に、このスキャナーは非常に信頼性が高いと思います。我々のプロジェクトの多くは、非常に時間的制約が多く、過酷な環境でのスキャンが必要とされるものも多いのです。例えば、-10℃という低温下でFARO Focusを使い、戸外でスキャンを行ったことがありました。そこは、SLRカメラでさえも正常に機能できない場所でした。また、高度の場所でも正常にスキャンを実行することができました。標高4,300mから4,400mのような高度でさえも、スキャナーはきちんと機能したのです。」

遺跡保存における3Dデジタル技術の将来的見通しについてDiao教授はこうコメントしています。「文化遺跡の老朽化は避けられない問題なので、現在残っているどんな情報でも記録しておくことが非常に重要です。歴史的遺物のデジタル化は非常に大きな責任です。我々の今後の目標は、デジタルでの計測精度を今後も改善しながら、ホログラフィック記録を実現することです。技術の進歩が、このような問題に取り組むための最適なソリューションをもたらしてくれると私は信じています。その他の問題は、費用とスピードの改善でしょう。我々は、より安価に速く実現できる文化遺跡のデジタル自動化を必要としています。永遠に失われる前に、情報を素早く記録しなければなりません。その時代が来た頃には、もう手遅れかもしれませんが。」

浙江大学文化遺跡研究所の概要

浙江大学文化遺跡研究所は2010年3月12日に設立されました。この研究所には、科学技術考古学センター、文化遺跡保存資料研究センター、古代建築物保存研究センター、芸術および考古学研究センター、そして発掘文献研究センターがあります。

研究所はデジタル考古学、地球物理考古学、文化遺跡保護資料の研究と応用のような分野で素晴らしい実績を残してきました。2016年、同研究所は、政府の承認を得て、洞窟寺院の文化遺跡のデジタル化と保護の目的で、中国文化遺跡局の主要科学研究基盤(浙江大学)を設立し、洞窟寺院の文化遺跡のデジタル化における政府からの任命を受けています。

http://chi.zju.edu.cn/

詳しくは、FAROのウェブサイトで。