Googleとのコラボレーションの可能性を深読みする
2018年5月29日

BIMで建築が夢をみる

#35 [都市のOS]開発に着手したGoogleとのコラボレーションの可能性を深読みする

私達の身の回りに出回っているOSとしては、Windows、Mac OS、Androidなどがよく知られています。中でも、Googleが開発したAndroidは、後発組にも関わらず、Googleの圧倒的な力によって、特にスマホなどのモバイルオペレーティングシステムの領域では隆盛を誇っています。そんなGoogleの最新動向が伝わってきました。 2月1日AM10時現地発で、米国版WIRED※1が『ALPHABET’S SIDEWALK LABS LAUNCHES A PLATFORM FOR MAKING THE CITY OF TOMORROW』とのニュースを掲載しました。日本語版のWIRED※2では『グーグルは未来都市のために[モビリティのOS]をつくろうとしている』と訳されていましたが、BIM状況を調査、取材し、関連記事を執筆している立場からすると『いよいよグーグルは[都市のOS]の開発に着手した』と読み替えることもできると考えました。 数年前ですが、屋根の上に360度俯瞰するセンサーを搭載したGoogleの車に遭遇したことがあります。こうやって街の情報をデジタル化しているのです。これがGoogleマップやGoogleストリートビューに活かされているわけです。さまざまな分野に触手を伸ばしているGoogleは、話題の自動運転車の分野でもトップランナーに躍り出ています。この自動運転車の技術を背後で支えるのも街の情報のデジタル化です。

便宜的なものとなるかもしれない?建築はBIM、土木はCIMという分類

建設業のデジタル運用に話題を戻すと、建築はBIM、土木がCIMと常識的には考えられていますが、そんな分類もあまり意味をなさなくなってくるのかもしれません。個々の建物を設計施工し、管理運用するためにBIMなどのデジタルツールが用いられますが、それらの建物はCIMなどのデータをバックボーンとして街中に建設されますし、個々の建物同士も、交通や通信ネットワークによって繋がっています。言葉を替えれば、BIMやCIMそしてGIS:地理情報システム(Geographic Information System)などを統合して、シンガポール政府が挑戦しているような国土のデジタルデータベースを構築すべきだと考えられます。そんな状況を考えると、[都市のOS]という言葉が俄然、信憑性を増してきます。

Googleだって建物(内部)の情報はもっていない?はずだから

外資系コンサルのオフィスにおいて米国西海岸で実験が進められている災害時避難シミュレーションのプレゼンを受けたことがあります。火災発生で出動した消防隊員は暗視ゴーグルのようなものをつけて、煙が充満した建物に突入していきます。ゴーグルには、あらかじめ作成されていた建物内の3次元映像がサーバーから送られて映し出され、加えて、その家の住人数などの情報も提供されます。プライバシー保護との関連で課題もありますが、BIMによる建物のデジタル情報は、こんな分野でも利用できるわけです。 街の情報のデジタル化を進めて[都市のOS]へと触手を伸ばしているGoogleですが、建物(内部)の情報はまだもっていない?とすると、[都市のOS]を巡って建設業とのコラボレーションも現実化するかもしれません。そして、その前にGoogleが、この国の建設会社や設計事務所を買いに来るかもしれません。

※参考
※1:米国版WIRED(英語)
※2:日本語版WIRED(日本語)

詳しくは、GLOOBEのウェブサイトで。

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