コラム「あらゆる分野でデジタル化が進行する中で新たな事業ドメイン出現」公開

2018年9月3日

BIMで建築が夢をみる

#42 あらゆる分野でデジタル化が進行する中で新たな事業ドメイン出現

中国のFin Tech(フィンテック)の進み度合いを説明するのに、「食事が終わったらスマホを出してアプリで割り勘」と講演会で話題にしたのは3年前のことです。それを見たある銀行の幹部が「銀行機能は残るかもしれないが銀行はなくなるかも知れない」と危機感を述べたとの後日談つきでです。このような変化のあるように、あらゆる分野で進むデジタル化は私たちをどのような近未来に連れて行くのでしょうか。

※Fin Tech:金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指す。続けて不動産テック、Edtec(教育)の造語も出現。

株式時価総額リストの変遷からも失われた30年に愕然とする

2018年8月20日、経済誌の週刊ダイヤモンドのオンライン版が衝撃的なニュースを発信しました。それは株式の時価総額のランキングを平成元年(1989年)と平成30年(2018年)で比較した表でした。

平成元年(1989年)といえばバブル崩壊の足音が聞こえ始めた頃ですが、それでも日本経済はまだ世界を席巻していました。それを誇るかのように、一位のNTTを始めとして日本興業銀行、住友銀行、富士銀行、第一勧業銀行と、今はなき銀行が続き、6位IBM、7位三菱銀行、8位エクソン、9位東京電力、10位ロイヤル・ダッチ・シェルと続いています。

それが平成30年(2018年)には、1位アップル、2位アマゾン・ドット・コム、3位アルファベット(グーグルの親会社)、4位マイクロソフト、5位フェイスブックとガラッと様変わりしています。それ以降も米国と中国などを中心とするデジタル関連企業が名を連ねています。これこそが失われた30年ともいわれ始めた変化の実態です。

GAFAに共通するのはリアルなアセットでビシネスしていないこと

アップルを筆頭とするデジタル関連企業は昨今、GAFAと称されています。GAFAに代表される企業と建設業とを比較すると、それぞれの立ち位置がはっきりとします。それはGAFAは「アセットを持っていない」「アセットをビジネスの基幹とはしていない」ということです。組織も時には国境さえる易々と超えていくデジタルを武器に、まさにマウスをワンクリックするだけで、チャリンチャリンと課金し、膨大な利益を上げています。
それに反してデジタル=バーチャルではなく、リアルなアセットを扱う建設業は対極にあります。儲けを上げる生産拠点=施工現場は易々と動かすこともできず、しかも一時的で、対象とする建物も多くが一品生産です。建設業は一面でデジタル化に最も適さない業種とも考えられます。そのような文脈の中でBIMを捉え直してみましょう。
※GAFA : Google、Apple、Facebook、Amazon」の頭文字から称している。

建築(Architecture)と技術(Technology)を組み合わせた「Archi Tec」ともいえる事業ドメインとは

今後、あらゆる情報はデジタル化されるに違いありませんが、それでも建設業が扱うリアル=アセットは必ず残ります。逆説的にいえば、建設業の扱うリアル=アセットを、GAFAは一切、扱えないことになります。そこでこそ、BIMを中心とする建設業のデジタル化は強みを発揮するのではないでしょうか。
当初、BIMは、2次元CADと比較して、3次元モデル構築に膨大な時間を要するため、削減すべき、後ろ向きのコストとして捉えられていました。昨今、BIMのメリットがさまざまに明らかとなり、普及も進む中で、BIM運用をコストとしてではなく、利益を生み出す武器として捉える動きも顕著となっています。
創る=設計BIM、建てる=施工BIMから管理する=FM-BIMへとデジタル情報が進化することで、施主の中には、施設の管理運用に効果があると考える者も現れました。優れたデジタル情報を持つ建物は不動産価値が上がるとの意見もありますし、都市を含む建物のデジタル情報そのものが商品となるかもしれません。

先回りし過ぎかもしれませんが、建設業の最も重要な役割は、GAFAが扱っていないリアル=アセットの情報をデジタル化してさまざまに運用し、デジタル化自体を、またデジタル情報そのものを商品化できることです。

これまでは、既存の建設業にICTを挿入、撹拌して建築とコンピュータの業際を革新すると述べてきましたが、今後は、BIMのI=Information、もうひとつのAIともいえるArchitectural Informationを駆使して、BIMの向こう側へと突き抜け、建設業そのものを新たな事業ドメイン=情報産業として再構築すべきだといいきっても良いでしょう。まさに建築(Architecture)と技術(Technology)を組み合わせた「Archi Tec」ともいえる事業ドメインが出現することでしょう。

詳しくは、GLOOBEのウェブサイトで。