コラム「BIMによってなくなるもの・うまれるもの」公開

2019年2月26日

BIMで建築が夢をみる

#55 BIMによってなくなるもの・うまれるもの

2月19日に、毎年、恒例となっているBIMの日、2019年シンポジウムが開催されました。そのシンポジウムの副題が「BIMによってなくなるもの・うまれるもの」です。この少しばかり衝撃的なテーマを俎上に載せて、今のBIM状況を考えてみます。

日本建築学会シンポジウム入り口にて

図面はなくなるのか?

建築設計における「図面」について考える際に思い出すのが、日刊建設工業新聞の前連載「BIMの課題と可能性」で取り上げた畝啓建築事務所株式会社(宇治市)のことです。
※2015年新聞掲載時の旧社名は「空創房、一級建築士事務所」。2017年に畝啓建築事務所株式会社に社名変更。

代表の畝啓氏はBIMソフト「GLOOBE」を使っているのですが、BIMソフトへの修練度が高まると、図面への取り組み、意識が大きく変わったと語っていました。

設計の進行と共に、変更、修正などを行う際に、以前は、個々の図面に段階ごとに手を加えていたのですが、BIMではひとつの建物モデルの方を修正します。すると工程ごとに図面に手を加えることもなくなり、図面出力さえも、確認申請手前の、ギリギリの段階でしか行わなくなったのです。それを「作業としての製図は終った」と表現しました。

シンポジウムを見聞した結論は、「(当面)図面はなくならない」というものでした。BIMが当たり前のように普及したとしても、設計者の意図を表現するものとしては、図面も、模型も、スケッチもあります。それらは優れた表現手段として残るでしょうし、重要なのは、BIMによる3次元モデルを「主体」として捉え、図面などの表現方法と折り合いをつけることです。

建物がなくなる?

CNNで放映された特集の話題です。米国では小売業の崩壊が広がっており、昨年には3,800以上のショッピングモールが閉店したとのこと。あるショッピングモールのオーナーは、廃墟のようになったショッピングモールを背景に、「手直し程度では駄目で、抜本的にビジネスモデルを変えないと生き残れない」と悲痛な声を上げていました。このような事態の根源は、アマゾンです。

チェコのある気鋭な経済学者は「この状態が進むと、トマト一個でもアマゾンで買うようになる」「いやアマゾンでしか、トマトは買えなくなるかもしれない」と語っていました。

どのようにデジタル社会が進んでも、リアルである建物はなくならないでしょう。問題となるのは、市場の変化に応じて建築業に求められるニーズの変化に対応せざるを得ないことです。

デジタルによる市場の変化に対応するとの喫緊の課題を解決するためにも、建設業自体がBIMなどを使ってデジタル化する必要がある。そのような文脈で、アマゾンの行き着く先と、BIMとの関係?というテーマでも、もう一度、BIMの位置づけを考え直してみるのも良いでしょう。

「うまれるもの」については、次回、考察しましょう。

シンポジウム講演風景

詳しくは、GLOOBEのウェブサイトで。