「研究会”BIM+VRが拡張する身体的建築デザイン”に参加して」を公開

2019年3月25日

BIMで建築が夢をみる

#58 研究会「BIM+VRが拡張する身体的建築デザイン」に参加して

3月16日に東京、田町の日本建築学会において建築人間工学小委員会主催の研究会「BIM+VRが拡張する身体的建築デザイン」が開催されました。当日は、土曜日で雨降りにも関わらず、会場は熱気に溢れ、多くの質問も飛び交うなど充実した研究会となりました。BIMを先駆的に活用している登壇者の方々の発言などを紹介し、今、BIMは先端的に、どこまで到達しているのかを再考します。

設計事務所の生き残り策としてのBIM

この連載を通してもBIMと図面との関係を考え続けています。「BIMで建築が夢をみる」の第55回「BIMによってなくなるもの・うまれるもの」でも、畝啓建築事務所の代表の畝啓氏のBIM運用を通じて「作業としての製図は終った」との感慨を書きました。今回の研究会でもBIMと図面との関係が取り上げられました。

BIM関連の数多くの著書をもつ大阪のアド設計の鈴木裕二氏は「Jw-cadでいいのだと現状を追認していると設計事務所としても生き残れない」と明確に言い切っていました。BIMの3次元建物モデルから現状の図面表現もできること。3次元パースに寸法表記などを書き加えた新しい図面表現も可能となっていること。そして何よりも、煩雑な平立断図+仕様書間の整合性の確認から解放されることなど具体的な事例を上げて説明されました。

勿論、BIMの先駆者だからこその発言だと割り引くこともできます。建築技術者の多くが図面へのこだわりをもっているのもわかります。建築の情報伝達のためのメディアとしての図面の優れた一面は否定することはできませんが、それでもBIMの優位性を認める時期になったのではないでしょうか。

顧客への見える化効果が抜群のVR

建築分野でのVR技術の利用に関しては、フリーダムアーキテクツの長澤信氏の発言が印象に残りました。独立系の設計事務所として積極的にBIMを運用し、メディアにもよく登場しているフリーダムアーキテクツではVRも先駆的に活用しています。

VR技術の優位性である見える化は、建築の素人である施主、建築主、顧客に対して効果を発揮します。長澤氏いわく「数百万円もする乗用車はショールームで体験できるのに、それ以上の価格の住宅を2次元図面だけの説明で購入してほしいというのは失礼だ」。その発言に沿って考えると、VRは住宅の「試乗」ともいえるかもしれません。BIM+VRによるプレゼンを採用してから「競合他社には100%勝っている」との発言もありました。VRの見える化効果だけでなく、優れた設計行為が顧客に響いているのですが、それでも営業戦略の一環としてVRが効果的なのは明らかでしょう。

フリーダムアーキテクツでは設計者の設計行為の一環としてVRを使用しています。空間の広がりや高さが感覚的に把握できる。建具の配置と高さ関係が確認できるとメリットを語りました。一方で、実際の室内空間よりもVRの方が広く感じられるなど、VRと身体との関係には、まだわからない領域もあります。それらの点については、バーチャル空間体感システム「GLOOBE VR」のユーザーへの取材を通じて解明し、本連載でも報告します。

詳しくは、GLOOBEのウェブサイトで。