導入製品 | AMPS Designer、BricsCAD Platinum |
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導入前の課題 | ▶試作品を作って試験をしなければ製品の耐久性や強度がわからない ▶取引先に製品の耐震性を証明する必要があった |
導入後の効果 | ▶試作品を実際に作ることなく、製品の構造解析が可能になった ▶試験期間が約7割短縮され、3~5割程度のコスト削減効果が得られた ▶取引先に耐震性を視覚的に証明することができた ▶ベテランのノウハウを若手に継承できた。 |
耐震性や強度への高度な要求
構造解析による検証が求められた
雷防護を中心に事業へと幅を広げ、現地調査から対策提案、製品提供、メンテナンスまで一貫したトータル雷防護ソリューションを提供するサンコーシヤ。同社では、自社の製品設計環境として、1995年頃から2D CADを本格採用し業務を行っている。2014年にはWindows XPサポート終了を機に新しいCADソフトへの入れ替えを行い、図研アルファテックの提供する「BricsCAD」を採用した。
「BricsCADは従来製品とのデータ互換性があり、過去のデータを引き続き活用することができます。また使い勝手や機能も十分であり、コスト面で優位だったこともあり選定しました」と設計部 設計一課 藤本晃市氏は話す。
また設計二課の背川勝範氏も「当社では電気回路の設計支援ツールとして図研アルファテックの『ACAD-DENKI』を採用したのですが、このツールがBricsCADに対応していたことも選定理由の1つです」と説明する。
同社では、その後3D CADを駆使してさらなる設計の効率化を進めてきた。しかし藤本氏は「3D CAD化によって製品イメージの把握や部品の干渉などの確認が簡単になりましたが、製品の耐久性や強度などは、実際に試作品を作って試験をしなければわかりませんでした」と振り返る。
そこで同社が目をつけたのがCAEツールだ。その当時、同社の取引先から厳しい性能要件を求められていたことも、この背景にあったという。
「取引先が求める耐震性などの要件を満たすには、従来の方法では対応できないと判断しました。そこで構造解析によって耐震性や強度を数値的に評価し検証するべく、『AMPS Designer』の導入を決めました」と設計部部長の三輪潤一氏は説明する。
“仮想実験室”で設計感覚を養う
AMPS Designerは、実際にサンコーシヤで幅広く利用されている。例えば、2016年に鳥取県で大きな地震が発生した際に、同地域で利用されていた同社ラック製品の耐久性を検証するべく解析を実施。その結果どの部分を補強すればよいのかということもシミュレーションを通じて確認できた。
「これまでは試作品を作り何度も試験を繰り返さなければなりませんでしたが、AMPS Designerを利用すればそれが不要になります。処理を実行すると、強度が低い部分や変形しやすい部分が発見できますし、それに対する設計変更案を解析すれば、どの案が最も強度が優れているのかがわかります。PoCを通じてAMPS Designerが“仮想実験室”のように機能することが実証できました」(藤本氏)
設計業務は、ベテラン設計者にノウハウの属人化が起こりやすいが、設計案を何度も検証して確かめられることでノウハウを形式知として可視化しやすくなったこともメリットだ。
「CAEによって、アイデアの段階でいろいろとチャレンジできるようになりました。また『ベテランなら感覚的にわかるけれど経験の浅い社員にはわからない』というようなことを視覚的に明らかにできるのも大きなメリットです」と設計一課の松田芽瑠穂氏は話す。
試験期間は7割短縮 コストは3~5割削減
サンコーシヤでは現在、3Dモデリングデータを必要に応じてAMPS Designerで構造解析するという使い方を実践している。製品に対する適用率は今のところ2割程度だが、利用するケースは少しずつ増えているという。
「最近は、製品の品質に対してお客様から高い要求が寄せられるようになり、利用する機会も急増しています。AMPS Designerを導入してから試験にかかっていた期間が約7割も短縮し、コストは3~5割ほど削減するという効果が得られています。また、AMPS Designerによる検証結果をレポートとしてお客様に示すことができるので、製品の品質に対する信頼性の向上につながったと考えています」(三輪氏)
また設計二課の薩田拓弥氏の「実験と解析を比較するという経験を積み重ねることで、製品の設計はより手堅いものとなります。何か疑問があれば、AMPS Designerを使って解析するという考えが徐々に設計プロセスに入り込んできたように感じています」と話す。
災害対策に関心が高まる今日、耐震性の証明は対顧客だけでなく社会に向けても必ず必要になる。サンコーシヤでは今後もAMPS Designerの適用範囲を広げ、設計精度の向上と製品開発・生産期間の短縮を進めていく。さらに解析を行うことで、これまで属人化していたベテランのノウハウを引き継ぎ、製品開発に反映していくという。
会社名 | 株式会社サンコーシヤ |
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設立 | 1930年 |
資本金 | 9.75億円 |
従業員数 | 1,038名(グループ全体) |
事業内容 | 雷防護、情報通信ネットワーク、環境対策の3事業を柱としたトータルソリューションを提供。85年以上に渡って培ってきた技術で世界に安心と安全を届ける「雷総合企業」の地位を獲得している。 |
U R L | https://www.sankosha.co.jp/ |