管理人のイエイリです。
バーチャル・リアリティー関係の研究会を作りたい研究者の声を受けて5年ほど前に「World16」というグループが結成されました。メンバーには日本や米国、英国、ドバイなどの一流大学の研究者が含まれています。
BIMの仮想コンペ「Build Live Tokyo」に参加したチーム「F8W16」の母体となっているグループです。その“夏季合宿”ともいえる「World16 Summer Workshop」が、イタリアのピサ大学とベニスで7月25日から4日間、開催中です。
W16 Summer Workshopの参加メンバー(写真:家入龍太。以下同じ) |
ワークショップの雰囲気 |
ピサの斜塔(左)に近いピサ大学(右)が会場となった |
朝9時から夜7時まで、各メンバーが持ち寄った最新の研究事例を「ここだけの話」とばかりに披露し合います。その後も、夕食会などが続き、1日目が終わったのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
夜11時過ぎ
という充実した内容でした。
7月25日は、日本大学理工学部土木工学科の関文夫教授が招待講演を行ったほか、大阪大学の福田知弘准教授が講演しました。
招待講演で土木のデザインについて語った関文夫氏(左)と講演内容 |
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3Dレーザースキャナーの点群からモデルを作成する技術などについて講演した福田知弘氏(左)と講演内容 |
驚くべきことはその柔軟な運営です。発表順序は当日、その場で決めるほか発表時間も一人10分ということになっていますが、臨機応変に延長されます。
そのため、スケジュールが予定通りに進まないことは暗黙の了解となっています。しかし、その自由さによってのびのびと発表ができ、ディスカッションも盛り上がるという一般の学会にはない独特の雰囲気があります。
発表内容もバーチャルリアリティーのほか、3Dレーザースキャナー、人の動きのモーションキャプチャー、群集の動きのリアルタイム解析など、多岐にわたっていました。
ユニークな発表の一つとしては、香港中文大学のMarc Aurel Schnabel副教授夫妻が発表した
マンガ風画像処理技術
というものがありました。
写真を画像処理してイラストにする過程で、マンガで使われる手法を取り入れたものです。線を強調したり、塗りつぶす部分にトーン素材を使ったりして、マンガの背景画像を作成する生産性を大幅に高めました。
こんな機能が画像処理ソフトにも搭載されると面白そうですね。
マンガ風画像処理技術について発表する香港中文大学のMarc Aurel Schnabel副教授夫妻 |
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もとの写真(上)とマンガ風に変換されたイラスト(下) |