既存ビルもOK!鹿島がピーク電力を20%カットする節電システムを開発
2012年5月7日

管理人のイエイリです。

北海道電力泊原子力発電所の3号機が5月5日の夜、定期検査のため停止し、日本国内では稼働している原発はゼロになりました。これからは日本全国で、節電への取り組みがいっそう求められてきそうです。

こうした背景のなか、鹿島はビル側で電力需要を自動的に制御し、ピーク時電力を節電できる「鹿島スマート電力マネジメントシステム」を開発。今年3月から自社ビルで運用を始めました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

ピーク時電力を20%以上

 

カットすることができるのです。

同社では以前から開発してきた省エネ技術のノウハウと、昨年の夏以降の節電で実績のある節電エンジニアリングを一体化することにより、電力の需要と供給のバランスをとる「デマンドレスポンス自動制御」として完成させました。

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デマンドレスポンスの概念(資料:鹿島。以下同様)

制御の仕組みはまず、外部のサーバーから天気予報や気温などの情報を収集し、空調負荷を予測し、節電時間と節電量を設定します。

そして建物内での使用電力量をリアルタイムに計測しながら、ビル内の設備や機器を自動制御して電力使用量のピークをカットします。

例えば、空調システムの外気導入量を100%から50%まで段階的に減らす、空調温度を変える、照明の照度を500ルクスから300ルクスに減らす、電気ポットや冷蔵庫など重要度の低い機器のコンセントをオフにする、といった制御が自動的に行われます。

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デマンドレスポンスの制御の仕組み

制御レベルは節電の必要性に応じて3段階に分かれており、まずは快適性に直接影響のない「レベル3」、次に知的生産性に直接影響のない「レベル2」、そして最も節電が必要とされる場合には執務に直接影響のない「レベル1」が実行されます。

また、制御モードとしては上記のようにピーク電力を抑える「デマンドレスポンスモード」のほか、年間の消費電力を抑える「省エネ節電モード」が用意されており、切り替えが可能です。

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節電の制御レベルと制御モード

こうした電力のデマンドレスポンスシステムは、新築時に計画しないと設置できないと思われがちですが、鹿島はこのシステムを2007年7月に竣工した

 

鹿島赤坂別館に導入

 

したのです。

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鹿島スマート電力マネジメントシステムを導入した鹿島赤坂別館。2007年7月に竣工した

中央監視や空調・照明制御の機能を備えた既存建物にも導入できるので、既存のオフィスビルなどもデマンドレスポンスによる最先端の節電が可能になります。

また、将来的には、時刻別に電力料金を設定する「ダイナミックプライシング」が導入された場合、電力料金の高い時間帯に電力使用量を減らすといった運用も可能です。

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