3Dで建物浸水も再現!竹中工務店がリアルな津波シミュレーションを開発
2013年3月26日

管理人のイエイリです。

津波が建物に及ぼす荷重は、これまで水位の3倍に相当する静水圧が津波を受けた建物の面に作用するといった静水圧として検討されてきました。

しかし、実際には津波は障害物によって流れの向きが変化したり、場所によって流れの速度が違ったりして、静水圧的には正確に表現できません。

そこで竹中工務店は津波が押し寄せた時の津波の動きを3次元で忠実に再現する「3D津波・浸水シミュレーション」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

建物に流入する津波

 

の動きも、超リアルにシミュレーションできるのです。

水の速度や量を再現できるほか、障害物があった場合に流れや水圧がどう変化するかを計算して、水が建物内部に流れ込む様子を3次元画像で示すことができます。

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建物内部に流れ込む津波の動き(資料:竹中工務店。以下同じ)

このシミュレーション手法が開発されたのは、津波が建物や設備などへ与える影響や復旧計画を検討する時には、津波の高さだけではなく、津波の荷重や海水の浸水状況といった3次元的な水の動きを把握することが必要だからです。

沿岸部にある地下街が浸水した時にどのような経路で避難誘導を行えばよいかや、BCP(事業継続計画)の視点からは、建物内の設備配置計画にも応用できます。

このシミュレーションでは想定断層での地震によって起こった津波が、どのように建物まで到達するのかを地形の起伏などを考慮して計算します。河川をどこまで津波が遡上(そじょう)するのかも検討できます。

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津波の発生(左)から地形を考慮した浸水域を予測する(右)

今後は津波によって流された船や建物などの大型漂流物による

 

建物への衝撃解析

 

も組み入れ、津波の被害予測をより詳細にシミュレーションできるようにする予定とのことです。

東日本大震災の福島第一原発の事故は、津波によって全電源を喪失したことがきっかけでした。今後は建物内で最も重要な施設をどこに設けるかといった計画にも、このシミュレーションは役立ちそうですね。

可能性があることはすべてシミュレーションで再現し、コンピューター上で結果を検証することで、“想定外”という言葉がなくなることを願います。

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