クローラー走行の機動力!熊谷組とIHIが開発した放射線測定システム
2013年4月10日

管理人のイエイリです。

東日本大震災の福島第一原発の事故による放射性物質で汚染された地表面の除染作業は、“見えない敵”との戦いです。放射線計測器で1点1点計測しても、その間に「ホットスポット」と呼ばれる線量の高い場所があるかもしれません。

そこで熊谷組IHIIHI建機は地表面の放射線分布を効率的に行えるシステムを開発しました。

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プラスチックシンチレーションファイバー(PSF)を用いた「自走式放射線2次元分布測定システム」(写真・資料:熊谷組、IHI。以下同じ)

 

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

1時間に2000m2

 

をくまなく、面的に計測し、土地に潜むホットスポットを探し当てることができるのです。

従来の方法で1m間隔で計測すると、50時間もかかり、測点間にホットスポットがあっても見つけることはできませんでした。

このシステムは「自走式放射線2次元分布測定システム」というもので、日本原子力研究開発機構(JAEA)が開発した「プラスチックシンチレーションファイバー(PSF)」を用いた放射線検知装置を、全地球航法衛星システム(GNSS)とともに建設機械(コンパクトトラックローダー)に搭載したものです。

汚染された土地をこの測定システムでくまなく走り回ることで、放射線量とGNSSで測定した位置データが通信回線によってサーバーに送られ、表面放射線のマップを作れます。

下の図は、表土のはぎ取り前とはぎ取り後の線量分布を比較したものですが、効果が一目瞭然です。

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表土はぎ取り前(左)とはぎ取り後(右)の線量分布図。除染効果や残っているホットスポットがよく分かる

放射線量を面的に計測する装置としてはこれまでも、三井住友建設が開発した「放射線量平面分布計測システム」、三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した特殊カメラなどがあります。

今回のシステムの強みは、コンパクトトラックローダーをベースマシンとして使ったことです。

クローラーを装備しているので、

 

不整地や斜面も踏破

 

できる機動力がありそうです。

今後、効率的に除染を行う必要のある森林など、様々な場所での除染に活躍できそうですね。

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