管理人のイエイリです。
実物の建物や構造物などを3Dレーザースキャナーで計測するとき、死角が生じないように計測するものの周囲数カ所から計測し、得られた点群データを「レジストレーション」という作業によって1つの点群データに合体させます。
このとき、点群関係者にとって悩ましいのは、複数の点群データを合体させる作業です。
例えばA点から計測した点群とB点から計測した点群の位置関係がおかしいと、両方の
点群が重なる部分が2重に
なってしまうからです。
この問題に立ち向かったのが、新潟市秋葉区の建設コンサルタント、トップライズです。
同社空間計測課の課長補佐、吉澤康宏さんは、約10年前から3Dレーザースキャナーによる計測を行ってきましたが、この点群のズレを何とかしたいと解決策を探ってきました。
3Dレーザースキャナーで計測する際に位置合わせの目印になる「マーカー」の置き方や、計測後の点群を合体させる方法などに工夫を凝らした結果、点群同士がピッタリと合わせられるようになったのです。
「この方法にたどり着くまで、約1年半かかった」と吉澤さんは語ります。
また、空間計測課の大貫雅弥さんは、合体した点群データからノイズなどの不要な点群を削除する作業のエキスパートです。彼女の根気と集中力によって、キレイな“点群商品”として仕上げられます。
同社はなぜ、こんなに高品質な点群データが作れるのかと、当然のことのように同業他社からも注目が集まっています。
私もその“秘訣”をこっそりと聞いてみましたが、同社のガードは固く、
門外不出のノウハウ
として、教えてもらうことはできませんでした。
点群データ同士を自動的に合体させるソフトや、計測位置をピンポイントで測定する機能を搭載した3Dレーザースキャナーも発売されていますが、まだまだ技術者の知恵と工夫による品質向上の余地は大きく残されています。
3Dレーザースキャナーによる点群計測が広がっていく水面下では、技術者同士の隠れた品質競争も始まっているようですね。