管理人のイエイリです。
再生エネルギー先進国のドイツでは、太陽光発電のコストがぐっと下がっており、電力会社から購入する電気料金と等しくなる「グリッドパリティー」が成立しています。
また、太陽光発電の電気を電力会社に売ることも、配電系統の容量制限や電力品質の点から行いにくくなっています。
ということは、太陽光発電の電気は、電力会社に売電せず、できるだけ自分で使い切った方が、電力ユーザーと電力会社の双方にとってハッピーなわけですね。
そこでドイツのプファルツ州シュパイヤー市内の集合住宅(16戸×2棟)で、太陽光発電の自家消費率を最大化する実証システムがこのほど完成し、実証運転を開始しました。
その中核となるシステムには、
ナ、ナ、ナ、ナント、
日本の蓄電、蓄熱、通信
などの技術がフルに使われているのです。
このプロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がNTTドコモ、NTTファシリティーズ、日立化成、日立情報通信エンジニアリングと共同で取り組む「ドイツ連邦共和国におけるスマートコミュニティ実証事業」の一環です。
太陽光パネルや蓄電池、ヒートポンプ、そしてHEMS(家庭用エネルギー管理システム)を組み合わせ、太陽光発電や電力需要を予測しながら蓄電池とヒートポンプを最適に制御します。
その結果、太陽光発電の電気をできるだけ集合住宅内で使い切り、電力会社の電力系統に売電しないようにします。
この実証運転を行うにあたり、NEDOは2015年7月23日にシュパイヤー市、シュパイヤー電力公社と基本協定書を締結しました。
今年5月30日(現地時間)、シュパイヤー市で事業関係者が出席して運転開始式が行われました。
日本では、ヒートポンプ給湯器を割安な深夜電力で運転することが多いのに対し、このプロジェクトでは、昼間にヒートポンプを運転し、
蓄熱をエネルギー保存装置
として利用しているのが面白いですね。
実証運転は2018年3月までの約2年間、実際の生活環境の中で行われ、効果や信頼性、経済性を評価する予定です。