5階建てまで丸ごと建設!巨大3Dプリンターのカタログを入手
2016年12月27日

管理人のイエイリです。

12月20日、3Dプリンターで製作された歩道橋がスペインで完成したという記事を掲載しました。

この記事では、スペインの企業が「D-SHAPE」という巨大3Dプリンターを購入して、歩道橋を製作したと書きました。

巨大3Dプリンター「D-SHAPE」で作られたスペインの歩道橋(写真:Enrico Dini)

巨大3Dプリンター「D-SHAPE」で作られたスペインの歩道橋(写真:Enrico Dini)

そこで、当サイトではこの歩道橋の製作に使われた「D-SHAPE」の

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

最新カタログを入手

 

したのです。

巨大3Dプリンター「D-SHAPE」のカタログ(特記以外の資料:MONOLITE UK LIMITED)

巨大3Dプリンター「D-SHAPE」のカタログ(特記以外の資料:MONOLITE UK LIMITED)

「D-SHAPE」の外観

「D-SHAPE」の外観

開発者のエンリコ・ディニ氏(写真:Enrico Dini)

開発者のエンリコ・ディニ氏(写真:Enrico Dini)

カタログによると、この巨大3Dプリンターは建築物を床、壁、天井まで丸ごと造形できるという点では、世界唯一とのことです。

英国のモノライト社(MONOLITE UK LIMITED)が本部となって販売しており、UAEや米国、イタリアにそれぞれの代理店があります。

造形に使う材料は、直径0.1mm~4mm(最大で20mmも可)の粘土や砂、砂れき、ポルトランドセメントなどの土石材料のほか、目的に応じて植物繊維やグラスファイバーなども混ぜて使えます。

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造形の手順は、3次元CADで造形する建物などの3Dモデル作り、CAMソフトで高さ方向に5mm程度の厚さでスライスします。

そのデータをパソコンからD-SHAPEに送ると、スライスした厚さに1層目の材料を敷きならします。

そして、建物の壁や床などになる部分に「インクバインダー」と呼ばれる固化材をノズル(サイズによって10本から1000本まで)からまいて固める、ということを何層も繰り返して行います。

敷きならされた材料の上に固化材をまくノズル

敷きならされた材料の上に固化材をまくノズル

造形された建物の部材

造形された建物の部材

建物部材を組み立てたところ

建物部材を組み立てたところ

建物を丸ごと、何棟も連続して建てていくイメージ

建物を丸ごと、何棟も連続して建てていくイメージ

家具などを建物と一体化して造形したイメージ

家具などを建物と一体化して造形したイメージ

大きさはユーザーのニーズに応じて様々なパリエーションを提供でき、造形できるサイズは3m×3mから24m×24mまで、高さも1階から5階建てまで対応できます。

造形中は3Dプリンターが正常に動作しているかや造形の様子を監視する作業員を配置します。1シフト当たりの人数は10m角の造形を行う場合で3人、24m角の場合は8人が必要とのことです。

建物の造形にかかる日数は9m四方の平屋建ての場合は5日、24m四方で5階建ての場合は79日となっています。

ユーザーのニーズに応じて、縦、横、高さは様々なサイズを提供できる

ユーザーのニーズに応じて、縦、横、高さは様々なサイズを提供できる

3Dプリンターで造った建物や構造物は、無筋なのでどうしても強度が不足すると思う方もいるでしょう。

その点も考慮されていて、床部分を造形する時は、途中で一時、ストップして

 

鉄筋や金網を敷き

 

その上から造形を続けるという方法で鉄筋入りの床を作ることができます。

また、壁や柱には縦穴状の空洞を作っておくと、造形終了後に縦方向の鉄筋を後付けして、補強することも可能です。

気になるお値段は、D-SHAPE開発者のエンリコ・ディニ氏によると、サイズによって24万ユーロ(約2900万円)から240万ユーロ(約2億9000万円)とのことです。

型枠なしで、コンクリート2次製品や打ち込み型枠などを作るのにも使えそうですね。ひょっとして、i-Constructionのコンクリート工の生産性向上にも役立つかもしれませんね。

【ごあいさつ】

今年の建設ITブログは、今回が最終となります。2017年は1月5日から再開する予定です。みなさま、よいお年をお迎えください。

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