管理人のイエイリです。
日本を代表する建設会社からなる日本建設業連合会のBIM専門部会は、施工BIMを効果的に活用し、業界全体の生産性を向上させることを目指して、2014年には「施工BIMのスタイル」、2016年には「施工BIMのスタイル 事例集2016」を発刊しました。
いずれも、日建連メンバー各社の現場最前線のノウハウが惜しげもなく盛り込まれた力作です。
そして2017年11月には、これらの続編となる「施工BIMのすすめ」を発刊しました。
施工段階でのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用も、導入から6年以上がたつ「先行企業」もあれば、これから導入する企業もあり、BIM導入や展開のスピード差は広がりつつあります。
今回発刊された「施工BIMのすすめ」は、BIMをこれから導入する企業やうまく活用できていないゼネコンを対象に、企業間の差を縮める目的で編集されました。
内容での大きな特徴となっているのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
先行企業の失敗例
を多く掲載していることなのです。
例えば、BIMと言えば基本設計→詳細設計→施工→維持管理とBIMモデルだけで完結することをイメージしがちですが、実際、やってみるとそう簡単ではありません。
そこでまずは部分的にBIMを活用する方法や、前半の検討・確認はBIMで行い、後半の承認図以降は2次元CADで行う方法からはじめることを勧めています。先行企業の苦難を味わせたくないという真心を感じますね。
そして、BIMソフトが使えるようになった技術者が陥りやすいのは、面白くなってついついBIMモデルを詳細に作りすぎてしまったり、BIMモデルを1つのデータに統合したりすることです。
その結果、BIMモデルのデータが重くなりすぎで開けず、結局2次元CADで検討したり、複数の企業が作成したBIMモデルを1つのデータに統合したため、1人の担当者に業務が集中して次の打ち合わせまでに更新できなかったりといった貴重な失敗談も紹介されています。
こうした失敗を防ぐために、BIMモデルのLOD(詳細度)を決めておく、データは統合でなく「重ね合わせ」によって同時並行で作業を進める、といった解決策が提案されています。
アンケート調査によって、先行企業がBIM推進のためにどのような取り組みを行っているのかも明らかにしています。
BIM活用を推進していくためには、組織やお金の問題もついて回ります。組織の作り方の例や、BIMの予算をどこから獲得するのか、どんな業務にBIMを活用しているのかといったノウハウも紹介されています。
約60ページからなる「施工BIMのすすめ」は、このようにBIMにこれから本格的に取り組む企業にとって有益な情報が満載ですが、日建連のウェブサイトからPDF版を
ナ、ナ、ナ、ナント、
無料でダウンロード
し、すべての内容が読めるようになっているのです。
惜しげもなく先行企業のノウハウを公開して、建設業界でより効果的にBIMを活用したワークフローが実践できるようにしたいという日建連メンバー各社の思いを感じました。
前2作は、BIM専門部会の「専門工事会社BIM連携ワーキンググループ(WG)」が編集しましたが、今回の「施工BIMのすすめ」は同専門部会の「BIM展開検討WG」が編集しました。
リーダーは吉村知郎氏(東急建設)、サブリーダーは福士正洋氏(大林組)と松野義幸氏(安藤ハザマ)、サブワーキングリーダーは脇田明幸氏(奥村組)と波多野純氏(鴻池組)、メンバーは三輪哲也氏(竹中工務店)、橋口智志氏(三井住友建設)、岩崎元幸氏(三井住友建設)、佐藤永氏(熊谷組)、山口紘平氏(熊谷組)、泉覚氏(錢高組)でした。
これからBIMを導入する企業や、導入したがうまくいっていない企業の方は、ぜひ読んでみてくださいね。