管理人のイエイリです。
日本の建設業ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や国土交通省の「i-Construction」施策が普及し、ドローンによる測量やAI(人工知能)による維持管理など、様々なICT(情報通信技術)が導入されています。
果たして、こうした動きは世界的に見てどうなのか、という心配も起こってきそうですね。
そこで最近、建設業についての3つの海外レポートがFacebookなどで取り上げられていましたので、その中身を見てみました。
1つめは2016年6月に発表されたマッキンゼー(McKinsey)の「Imaging construction’s digital future Five trends will shape construction and capital projects」(建設業のデジタルな未来をイメージする~5つの動向が建設と開発プロジェクトを改善する)です。
タイトルの通り、このレポートでは今後の建設業を変える5つの技術がピックアップされていますが、そのトップにあげられたのは
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dスキャナーによる測量
の高精度化だったのです。
つまり、現場をデジタルの3Dデータとして、パソコンの中に高精度で取り込むことが、イノベーションの始まりということですね。
以下、「BIMによるコスト、工期の管理」、「デジタルによるコラボレーションと現場でのモバイル活用」、「IoTと高度な解析」と、IT関連の技術トレンドが続きます。そして5番目に「自己修復型コンクリートによる長寿命設計と施工」と、材料面でのイノベーションが挙げられていました。
2つめは、2017年5月にSAPが発表した「Five technology trends changing everything in the engineering, construction, and operations industry」(設計、施工、運用のすべてを変える5つの技術動向)というレポートです。
このレポートでは筆頭に「IoT(モノのインターネット)」を挙げています。つまり建設業も「現場→デジタルモデル→現場」という流れを構築して、その間のデータ処理にコンピューターを使って生産性を上げるということでしょうか。
マッキンゼーのレポートでも3Dスキャナーで現場をパソコンに取り込む技術が1番目になっていましたが、それと共通している感じがします。
続いて、「AR(拡張現実)」、「リアルタイムに最適化が行える強力なコンピューティング」、「クラウドコンピューティング」、「モバイル機器の活用」が挙げられています。
3つめは設計事務所の「キングスパン(Kingspan)」が2017年9月に発表した「5 innovations revolutionising construction」(建設界を改革する5つのイノベーション)というレポートです。
昨年(2017年)、公開されたばかりのレポートらしく、筆頭にあげられているイノベーションは
3Dプリンターによる建設
でした。
今、世界各地で「3Dコンクリートプリンター」という巨大なマシンが続々と実用化されており、実際に建物や橋の建設も行われています。やはり、このトレンドこそが最も注目すべきイノベーションなのかもしれませんね。
続いて、「ドローンによる現場測量」、「設計におけるVR(バーチャルリアリティー)の活用」、「データ管理ツール」、「ビル性能を予測するデジタルツール」となります。
以上、3つのレポートを見てみましたが、これからの建設業を変えていくイノベーションの種は、ほとんど建設IT関連技術ということがわかりました。
日本のBIM/CIM活用やi-Construction、AR/VRの活用なども、ほぼこれらのレポートに沿った方向に動いているので、“ガラパゴス”という心配はなさそうですね。