点群データを無償公開!静岡県が運営するサイトを使ってみた
2018年2月14日

管理人のイエイリです。

国土交通省の「i-Construction」施策などによって、3Dレーザースキャナーで現場を点群計測する機会が増えています。

通常は工事に関係する部分以外の周辺道路や地形などの点群は、カットしてしまうことが多いですが、近くで災害が起こったときや別の工事を行うとき、周辺部分の点群が貴重なデータとして使える場合もあります。

そこで静岡県は、工事の際に使った貴重な点群データを再利用するため、「Shizuoka Point Cloud DB」というウェブサイトを運営しています。

「Shizuoka Point Cloud DB」のウェブサイト(以下の資料:特記以外は静岡県交通基盤部建設支援局技術管理課)

「Shizuoka Point Cloud DB」のウェブサイト(以下の資料:特記以外は静岡県交通基盤部建設支援局技術管理課)

工事の際に計測された生の点群データを

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

無償でダウンロード

 

できるのです。

点群データが登録されている現場。青い水玉アイコンにマウスを近づけると現場名などが表示される

点群データが登録されている現場。青い水玉アイコンにマウスを近づけると現場名などが表示される

試しに「白糸の滝滝見橋周辺整備事業 その4」のアイコンをクリックしてみると、地図上に赤枠が表れました。それをクリックすると工事の名称や提供者名、登録日付などとともに、登録されている点群データへのリンクが表示されます。

ここで点群データへのリンクをクリックすると、すぐにダウンロードが始まります。私が試したものは、1つのファイルサイズが約200MBあり、「.las」形式で提供されていました。

登録されている点群データの例。1つ約200MBほどあった

登録されている点群データの例。1つ約200MBほどあった

ダウンロードした点群データを、点群表示ソフトで開きます。私の場合は以前、アイサンテクノロジーのセミナーに参加したときにもらった同社の点群処理ソフト「WingEarth」の体験版をパソコンにインストールして利用しました。

点群データを開くのは初めてでしたが、このソフトは200MBものデータをスイスイと開いてくれました。

WingEarthの体験版で点群データを開く画面。メニューには「.las」形式のほか、対応する様々なデータ形式が表示された(画面:アイサンテクノロジー)

WingEarthの体験版で点群データを開く画面。メニューには「.las」形式のほか、対応する様々なデータ形式が表示された(画面:アイサンテクノロジー)

WingEarthで開いた点群データ

WingEarthで開いた点群データ

マウスを操作して点群データ内を移動・回転したり、拡大縮小していろいろな角度から見てみると、まるで現場を歩き回ったり、ドローンで空中から見たりする気分になりました。

薄い点群も拡大していくと、橋の構造や石垣などが写真のようにくっきりと表れました。

ドローンのように現場の点群を見たところ

ドローンのように現場の点群を見たところ

地上に降りて橋を見上げたところ

地上に降りて橋を見上げたところ

別の点群データでは橋の高欄とともに周囲の樹木がリアルに写っていた

別の点群データでは橋の高欄とともに周囲の樹木がリアルに写っていた

他の企業が計測した点群データを使うときは、著作権が気になりますが、白糸の滝の点群データの場合、著作権の国際標準である

 

クリエイティブ・コモンズ4.0

 

の条件の範囲で無償で利用することができるので安心です。(クリエイティブコモンズ4.0の詳細はこちら

この話は、2018年2月6日に東京・有明で開催された「トプコンソキアポジショニングジャパンロードショー2018」で、日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所の藤島崇さんが「i-Construction 今後の展開」という講演の中で紹介されたものです。

講演する日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所の藤島崇さん(写真:家入龍太)

講演する日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所の藤島崇さん(写真:家入龍太)

今後、静岡県の工事に伴って道路や河川、地形が少しずつ3Dデータ化されてきます。

シンガポールでは国全体を3Dモデル化する「バーチャル・シンガポール」の計画が進行中ですが、「Shizuoka Point Cloud DB」も“バーチャル静岡県”としての価値が高まってきそうですね。

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