管理人のイエイリです。
建築設計で使用するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを使って、木材を機械加工しようとするときに面倒なのが建築業と製造業の“業界間データ交換”です。
というのも、建設業側でよく使われている「DXF」や「IFC」などのデータは、そのままでは木材加工の工場で使われているプレカット生産CADソフトには読み込めないため、「CEDXM(シーデクセマ)」などの中間ファイル形式に変換して、データを受け渡す必要があるからです。
そこで前田建設工業と千葉大学大学院工学研究院平沢研究室は、画期的なロボット加工機を開発しました。ARCHICADなどで作成した一般的なBIMデータをそのまま使って、
ナ、ナ、ナ、ナント、
木材を自動的に加工
することができるのです。(前田建設工業のプレスリリースはこちら)
このロボットは2台のファナック製産業用多関節ロボットと専用の搬送台で構成されており、従来の木材加工機に比べると非常にコンパクトです。
木材をすべての方向から切削や穴開け、切断などの加工を行えるほか、加工誤差も従来の機種が1.5mmだったのを0.5mmと高精度化しました。
複雑な形をした仕口なども自由度の高い加工が可能なので、従来にない
自由なデザインの木造建築
が可能になります。
つまりBIMソフトで部材をモデリングさえすれば、その形通りの部材をロボットが作ってくれるというわけです。
前田建設工業が施工中の新技術研究所内のネスト棟(木造1階約800m2)に使用する梁や柱部材をこのロボットで加工した結果、高い加工精度と従来機に勝る加工スピードを確認しました。
ロボットは2018年4月現在、千葉大学の実験室に設置されています。同9月には新技術研究所名との総合実験棟に移され、最大幅3mのCLT材を可能可能な仕様に拡張されます。そして、2019年には、実際のプレカット工場に設置する予定です。
3Dプリンターによるものづくりに似た感覚で木造建築も作れる時代になってきたとは、驚きました。