地下街が浸水した!避難経路をBIMで求める大成建設のシステム
2018年9月7日

管理人のイエイリです。

最近、日本列島は地球温暖化の影響とみられる非常に強い台風や集中豪雨などの被害が増えているようです。

そこで今後、求められるのが、地下街の洪水対策です。洪水などの水が流入したとき、流入口の位置によって地下街内に水が広がる範囲や水深が異なるので、利用者に適切な避難経路を案内しないと大変なことになります。

そこで大成建設は、地下街などのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを使い、浸水範囲と深さを考慮しながら、

ナ、ナ、ナ、ナント、

最適な避難経路

を求めるシステムを開発したのです。(大成建設のプレスリリースはこちら

地下街に水が浸入したときの最適な避難ルートと避難時間を計算する。この例では避難時に浸水部分を通るので避難に7分かかったり、避難に失敗したりすることがわかる(以下の資料:大成建設)

地下街に水が浸入したときの最適な避難ルートと避難時間を計算する。この例では避難時に浸水部分を通るので避難に7分かかったり、避難に失敗したりすることがわかる(以下の資料:大成建設)

地下街の階段などから浸水が始まったとき、地下街の浸水範囲や浸水深さを時々刻々と計算します。そして、地下の各部屋から地上出口までの最短避難経路と所要時間を算出し、表示してくれるのです。

そのとき、浸水の深さによって、利用者の歩行スピードが大きく変わるので、それも考慮します。

また、地下街の浸水被害が大きくなる出入り口には止水板を設け、他の出入り口を避難に使うといった検討も行えます。

先ほどの左上の出入り口に止水板を設けると、浸水範囲が変わり、ドライな部分を通って避難できるので、より短時間で避難できることがわかる

先ほどの左上の出入り口に止水板を設けると、浸水範囲が変わり、ドライな部分を通って避難できるので、より短時間で避難できることがわかる

そのため、どの出入り口に先に止水板を設け、どの出入り口を開けて避難誘導を行うかといったことも、事前にシミュレーションしながら避難誘導計画を作っておくことが可能になります。

このシステムによって、地下街の利用計画も変わるかもしれません。

例えば、高齢者や子供が利用する居室は

短時間で避難できる場所

に割り当てるなど、洪水に対する最適な居室配置という考え方も出てきそうです。

このシステムは、大成建設が2016年12月に開発した建物内の浸水リスクを評価・診断するシステム「T-Flood Analyzer」を改良したものです。(詳細は当ブログ2016年12月6日の記事を参照

「T-Flood Analyzer」によって、地上階から地下1階、地下2階へと浸水する状況を時間的に解析した例

「T-Flood Analyzer」によって、地上階から地下1階、地下2階へと浸水する状況を時間的に解析した例

これからの地下街は、地球温暖化によって激しくなりつつある洪水や、地震時の津波対策もしっかりと行っていくことが求められそうですね。

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