管理人のイエイリです。
電柱と言えば、「じゃまなもの」「街の景観を阻害するもの」と、これまではマイナスのイメージがつきものでした。
しかし、プラスの方向で電柱を見直してみれば、「街中、どこでもある」「電気が通っている」「1本ずつ位置情報がある」など、他にはない“特長”もあります。
ここに目を付けたのが、関西電力、フルタイムシステム(本社:東京都千代田区)、日本ネットワークサポート(本社:大阪市中央区)の3社です。
関西電力らはこのほど、京都府精華町内にある3カ所のマンションで「電柱吊宅配ロッカーサービス」の試行を2018年11月1日~2019年3月15日まで行っています。
ナ、ナ、ナ、ナント、
電柱で宅配便を受け取れる
という全国初の画期的なサービスなのです。(関西電力のプレスリリースはこちら)
明治時代に初めて電報のサービスができたとき、荷物も電線で送れると勘違いした人が、電柱に荷物をくくりつけたという逸話を聞いたことがあります。
100年以上たった現在、電柱で荷物を受け取ったり、場合によっては送ったりすることが実現するとは、意外なことですね。
使い方は、宅配便の配達員が荷物を届けに来たとき、不在の場合はこの宅配ロッカーに入れておきます。配達の着荷情報はメールで受取人に通知され、暗証番号または交通系のICカードでロッカーを解錠して荷物を受け取る、という流れです。
今回の試行は、(1)マンション棟内に宅配ロッカーの設置スペースがないこと、(2)敷地内や付近に電柱があること、(3)宅配ロッカーを設置しても通行の支障にならないこと、という条件を満たす場所が設置場所として選ばれました。
また、宅配ロッカーの利用にはヤマト運輸、佐川急便、日本郵便が協力し、歩道上の宅配ロッカー設置については精華町が協力しています。
こうした電柱の新しい用途開発のアイデアが出たきっかけは、関西電力が電柱の
オープンイノベーション
を目指して、2016年11月~12月に開催した電柱活用のビジネスアイデアコンテスト「Dentune!! –電柱の新たな未来–」でした。
総勢117人、26チームが参加し、各チームが短時間で集中してアイデアを出し、競う「ハッカソン」と呼ばれるコンテストです。
電柱を休憩場所にする、電柱をシェアリング自転車の拠点にする、電柱にタクシーを配車するなど、様々なアイデアが出されました。
今回の宅配ロッカーは、これらのアイデアを参考にして生まれたようです。
この取り組みがうまく行くと、「電柱のある土地」の人気が高まるかもしれませんね。このほかにも、電柱を使った新しいサービスの登場を期待したいです。