管理人のイエイリです。
最近、コンクリート構造物や石垣などの劣化診断にAI(人工知能)の「ディープラーニング」が使われることが多くなりました。
ディープラーニングとは、現場の写真と、その中で劣化している部分の画像をセットにした「教師データ」を何百枚、何千枚とAIに「学習」させる方法です。その結果、AIは新しい写真を読み込んだときに、劣化部分を指摘できるようになります。
そこで問題となるのが、膨大な数の教師データをどう作成するかです。実際の現場写真を数多く集め、それぞれの写真の上に劣化部分を書き込むには、膨大な労力と専門性が求められるからです。
そこで建築・土木構造物の調査・診断業務を行うジャスト(本社:横浜市青葉区)は、画期的な事業を始めました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
教師データの作成を支援
する「J-Brain Annotation」という新サービスなのです。(ジャストのプレスリリースはこちら)
上記はジャストが作成した教師データの一例ですが、一般の企業にとってこれらを数百枚単位で作成するのは、相当な労力がかかりそうなのは容易に想像できますね。
しかし、同社は約420人のスタッフが、カメラやドローン(無人機)などを使って建築・土木構造物の調査や診断業務を毎日、行っていますので、業務そのものが教師データの事例収集作業と言っても過言ではありません。
そのため、一般企業に比べて様々な構造物の、膨大な数の劣化画像を集めることができるのです。
しかし、教師データの作成には、AIの仕組みやディープラーニングの開発、現場写真の分析力など、様々な分野の専門知識が求められます。
そこで教師データの作成を担うのが、「チーム J-Brain」という技術者集団です。
建築や建材、コンクリート診断といった建設分野の専門家はもちろん、
機械学習や画像処理
そしてドローン操縦やロボティクス、経営コンサルタントなど、多岐にわたるプロフェッショナルたちが集まっているのです。
泥くさい現場のことも熟知したうえで、AIやディープラーニングとの相性もわかる専門家なら、高品質、高精度の教師データを作ってくれそうですね。
同社のウェブサイトには、彼らが作成した教師データの実力を試せる「外壁仕上げ材判定AI」というコーナーが用意されています。外壁が写った写真を選んで「判定する」ボタンを押せば、それが何パーセントの確率でどんな建材なのかを解析してくれます。
まさか、建物の診断会社がこれほどハイテク化されているとは、知りませんでした。建築・土木の維持管理技術は、ますます高度化していきそうです。