トンネルの切り羽形状を見える化!西松建設が3Dスキャナーをブレーカーに搭載

2019年2月18日

管理人のイエイリです。

山岳トンネルの掘削工事では、「切り羽」と呼ばれる掘削面を発破しながら掘り進めていきます。

そこで重要なのは発破後、設計断面よりも内側に張り出した地山部分(以下、「あたり」)を発見し、油圧ブレーカーなどの重機で落としていく作業です。

これまでのあたり取り作業では、作業員が切り羽の真下に入って、目視であたり箇所を判断しながら、レーザーポインターなどでその部分を照射し、重機のオペレーターに指示を出していました。

しかし、切り羽は地山が露出しているため、岩塊が抜け落ちてくる危険性があります。

従来のあたり取り作業。切り羽に作業員が立ち入り、指示を出す(以下の写真、資料:西松建設)

従来のあたり取り作業。切り羽に作業員が立ち入り、指示を出す(以下の写真、資料:西松建設)

そこで西松建設とビュープラス(本社:東京都千代田区)は、あたり取り作業を安全に行える「掘削形状モニタリングシステム」を開発しました。

油圧ブレーカーに

ナ、ナ、ナ、ナント、

3Dレーザースキャナー

を搭載して切り羽付近の断面を計測し、あたりの場所を運転席のモニターに表示できるのです。そのため、切り羽付近に作業員が立ち入る必要性はなくなりました。(西松建設のプレスリリースはこちら

3Dレーザースキャナーによる切り羽計測の仕組み

3Dレーザースキャナーによる切り羽計測の仕組み

3Dスキャナーを搭載した油圧ブレーカー。切り羽形状が運転席のモニターに表示される

3Dスキャナーを搭載した油圧ブレーカー。切り羽形状が運転席のモニターに表示される

運転席のモニター。あたり箇所が赤色で表示されるので一目瞭然だ

運転席のモニター。あたり箇所が赤色で表示されるので一目瞭然だ

モニターであたり箇所を確認する重機オペレーター

モニターであたり箇所を確認する重機オペレーター

3Dスキャナーによる計測から結果の表示までにかかる時間はわずか15秒程度と高速なので、掘削作業を中断する必要はありません。

計測の精度は±30~50mm程度とよいので、作業員の目視技量による判断のバラツキがありません。

設計断面と掘削した断面の差が「ヒートマップ」によって色分け表示されるので、断面の外側に掘りすぎる「余掘り」の減少にも役立ちます。そのため覆工コンクリートが過剰になることも防げそうですね。

掘削後に行う吹き付けコンクリートの施工後に断面を再度、3D計測すると吹き付けコンクリートの量や、トンネル内面に付着せず、落ちた「リバウンド量」なども計測することができます。

一般的に、3Dレーザースキャナーによる点群計測では、計測の原点となるXYZ座標をトータルステーションなどを使って測定する必要があるので計測後、結果が出るまでにかなり時間がかかります。

その点、このシステムでは重機後方の任意の場所に設置した

特殊基準球

を3Dスキャナーが自動的に探索して、自己位置を特定するため、トータルステーションとの連動が不要です。

重機の後方に設置した特殊基準球によって、3Dスキャナーは自己位置をスピーディーに特定できる

重機の後方に設置した特殊基準球によって、3Dスキャナーは自己位置をスピーディーに特定できる

ビュープラスのウェブサイトを見ると、様々な小型・軽量のカメラを開発したり、ミラーと距離計が連動する新方式の高速3Dレーザースキャナーなどを扱ったりしているようです。建設分野の計測にも、役立ちそうなものがいろいろとあるように感じました。

こうしたユニークな企業とコラボすることで、建設業のイノベーションが促進されそうですね。

西松建設では同社が施工中のトンネル現場で実証実験を行いながら改良を続けるほか、高速3Dスキャナーによるインバート(トンネルの底面)掘削のモニタリングや切り羽の押し出し計測、重機の姿勢制御などの技術開発を進めていきます。

これまで人の経験と勘がものを言う世界だった山岳トンネル工事も、無人化や自動化の実現が見えてきました。

 
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