再建の重要資料に!ノートルダム大聖堂の点群データが計測されていた
2019年4月17日

管理人のイエイリです。

世界遺産であるフランス・パリのノートルダム大聖堂が大火災に見舞われた映像は、ネットやマスコミを通じて瞬く間に広がり、世界中の人々にショックを与えました。

火災前のノートルダム大聖堂。2014年1月撮影(写真:家入龍太)

火災前のノートルダム大聖堂。2014年1月撮影(写真:家入龍太)

既にフランスのマクロン大統領が大聖堂の再建を表明したほか、ルイ・ヴィトンやディオールなど高級ブランドを保有する大富豪らが巨額の資金援助を申し出るなど、今後の再建計画も動き出しました。

13世紀に完成したこの大聖堂は、ゴシック様式の代表的建築として知られ、建物を外側から支えるフライングバットレス(飛び梁)や先端がとがった尖頭アーチ形の骨組みなど、複雑な曲面や曲線が多用された構造となっています。

この大聖堂を復元するのに、有力な資料が残っていることがわかりました。測量機器メーカーのライカ・ジオシステムズ(Leica Geosystems AG)は、ノートルダム大聖堂の内外から

ナ、ナ、ナ、ナント、

高精度の点群データ

を3Dレーザースキャナーで計測していたのです。

ライカ・ジオシステムズが計測したノートルダム大聖堂の点群データ(以下の資料:Leica Geosystems ADのYouTube映像より)

ライカ・ジオシステムズが計測したノートルダム大聖堂の点群データ(以下の資料:Leica Geosystems ADのYouTube映像より)

内部の点群データ。特徴的な尖頭アーチの骨組み形状もしっかりと記録されている。黄色の三角印は点群計測をした場所

内部の点群データ。特徴的な尖頭アーチの骨組み形状もしっかりと記録されている。黄色の三角印は点群計測をした場所

彫刻が施されたディテールもくっきりと

彫刻が施されたディテールもくっきりと

建物を外側から支えるフライングバットレスのカーブもしっかりと記録されている

建物を外側から支えるフライングバットレスのカーブもしっかりと記録されている

この点群データは、建物の内外41カ所で3Dレーザースキャナーの高さを変えながら計測し、1つの点群データとしてまとめられたものです。

複数の点群データは、同社の「Leica Cyclone 9.0」というソフトを使って自動的に結合されました。

気になる精度ですが、フライングバットレス部分の点群を輪切りにして断面を見てみたところ、3カ所から計測された点群が非常に精度よく重なっていることから、再建工事に十分使えるレベルであることがうかがえます。

フライングバットレス部分の点群を切り取る

フライングバットレス部分の点群を切り取る

点群の断面を見たところ。3カ所から計測された赤、黄、紫の点群が非常に精度よく重なっていることがわかる

点群の断面を見たところ。3カ所から計測された赤、黄、紫の点群が非常に精度よく重なっていることがわかる

この点群データの計測については、ライカ・ジオシステムズのYouTube動画「Leica Geosystems Cyclone 9.0 Auto Alignment Registration Tools」(2015年2月公開)で詳細に解説されています。

このほか、火災前の大聖堂の内部を再現するための資料として、YouTubeには

360度VR映像

もアップされています。

ノートルダム大聖堂の内部を撮影した360度VR映像(資料:TARGOのYouTube動画より)

ノートルダム大聖堂の内部を撮影した360度VR映像(資料:TARGOのYouTube動画より)

TARGOというVR(バーチャルリアリティー)エンターテインメント会社が制作した「Step inside Notre-Dame cathedral [VR/360]」というドキュメンタリー作品で、2019年2月に公開されたばかりです。

Oculus RiftやHTC ViveなどのVR用ヘッドセットを着用して見ると、大聖堂の中を訪れたような臨場感を味わえるとのことです。

普通のウェブブラウザーの場合は、動画上でマウスのポインターをクリックしながら動かすと、上下左右いろいろな方向を見ることができます。

ノートルダム大聖堂が火災で焼け落ちたことは、大変、悲しいことですが、点群データやVRなどの記録を活用して、一日も早くもとの姿に復元されることを心から願っています。

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