管理人のイエイリです。
2019年3月12日、東京・六本木に、メルセデス・ベンツ日本と竹中工務店がクルマと生活の未来の姿を体験できる「EQ House」が約2年間限定でオープンしました。
設計・施工には、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や数式やシミュレーションで各部の形を決める「アルゴリズミックデザイン」、レーザーカッターを使った工場加工など、様々な最新技術が使われています。
そして、この建物の内装工事で、部材の取り付け位置などの基準となる線や点などを床に描く「墨出し作業」には、
ナ、ナ、ナ、ナント、
自走式墨出しロボット
が使われたのです。(竹中工務店のプレスリリースはこちら)
この墨出しロボットは、同社が以前、開発したロボットを改良したもので、重さはわずか17kgと小型・軽量です。
市販のレーザー測量機によって墨出し位置を指定し、Wi-Fi通信で送信するとロボットがその情報を受け取り、目的地まで自走して、搭載されたペンプロッターで床に線や文字などを描画します。
OAフロアの場合、1カ所当たりの墨出し所要時間は、従来機が98秒もかかっていたのに対し、今回開発されたロボットは33秒に短縮され、生産性は約3倍に上がりました。
性能が上がったにもかわらず、自動追尾機能を持たないレーザー測量機の利用や、ペンプロッターの採用によって機器コストやランニングコストも安価になりました。
EQ Houseの施工では、OAフロアのサポート位置や設備用アンカー位置の墨出し作業(全92カ所)にこのロボットを使用したところ、約4時間で100m2の墨出し作業を完了。設計値に対する誤差は平均2mm以下と、実用にたえるレベルとなりました。
また、都内の別の現場では間仕切り壁の墨出し作業(全62カ所)にこのロボットを試験的に活用し、同等の誤差で墨出しできることを確認しました。
レーザー測量機で誘導されるということは、真っ暗闇でも作業できるということですね。
そのため、職人さんが作業しない夜間に
無人墨出し作業
を行っておき、職人さんは部材の取り付けなどの作業に集中することで生産性を向上させることも可能になります。
なお、墨出しロボットは日立プラントサービスや新菱冷熱工業なども開発しています。
竹中工務店では今後、他社とのオープンイノベーションを通じて、墨出しロボットの製品化を図っていくとのことです。建設会社がロボットメーカーになる日も、そう遠くはなさそうですね。