BIMとロボットアームが連動!大林組が耐火被覆吹き付けロボを開発
2019年7月1日

管理人のイエイリです。

これから夏のシーズン、ビルの建設現場で大変なのが鉄骨への耐火被覆吹き付け工事です。

一般的に使われる半乾式吹き付けロックウール工法では、吹き付けたロックウールが大量に飛散するため、作業員は夏場でも通気性の悪い防護服を着用する必要があり、大きな負担を強いられるからです。

そこで大林組は、この作業を自動化する「耐火被覆吹き付けロボット」を開発しました。

開発された耐火被覆吹き付けロボット(以下の写真、資料:大林組)

開発された耐火被覆吹き付けロボット(以下の写真、資料:大林組)

走行装置や昇降装置の上に左右に移動する産業用ロボットアームを取り付けたもので、

ナ、ナ、ナ、ナント、

BIMモデルのデータ

を利用して、耐火材を鉄骨に向けて器用に吹き付けてくれるのです。(大林組のプレスリリースはこちら

BIMモデルのデータを利用して動くロボットアーム

BIMモデルのデータを利用して動くロボットアーム

あるビルでの実賞実験風景

あるビルでの実賞実験風景

このロボットは階高5m、梁せい1.5mまでの梁部材に吹き付けることができます。断面形状が入り組んだH形鋼の梁でも、下フランジ、ウエブ、上フランジとノズルの向きを変えながら丁寧に吹き付けます。

吹き付け作業のデータは、鉄骨のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを利用した専用シミュレーター上で作成します。平面図上の座標を基に走行ルートを登録すると、半日もしくは1日単位の長時間単位で、移動と吹き付けを繰り返し実行できます。

走行装置は自動走行できるほか、リモコンでの遠隔操作も可能です。2.5t以上の工事用エレベーターがあれば、他の階に移動して作業を行えます。

大阪府内の工事現場で実証実験を行った結果、大梁2本と小梁2本への吹き付けを建設技能者と同等の品質で行うことができました。

ロボットアームの先端に取り付けたノズルは、吹き出したロックウールをミスト状の水で包み込むような機構になっているため、飛散量を7割も削減できるようになっています。

ロボットアームの先端に取り付けた粉じん飛散防止ノズル

ロボットアームの先端に取り付けた粉じん飛散防止ノズル

さらにすばらしいのは、吹き付け作業の生産性が高いことです。

これまでの吹き付け作業は、建設技能者が高所作業車に乗ってノズルを手に持って行っていました。この場合、一度に吹き付けられる幅は2m程度に限られていました。

ところがこのロボットは、ロボットアームを横行装置で3.8mの範囲をスライドさせられるので、建設技能者の約2倍の幅を一度に施工できます。

高所作業車に乗った建設技能者による施工では一度に2m幅しか吹き付けられなかった

高所作業車に乗った建設技能者による施工では一度に2m幅しか吹き付けられなかった

ロボットには左右に3.8m移動するロボットアームが付いているため、技能者の2倍程度の幅を一度に施工できる

ロボットには左右に3.8m移動するロボットアームが付いているため、技能者の2倍程度の幅を一度に施工できる

2時間耐火仕様の場合、建設技能者は1日に150m2程度の吹き付け面積だったのに対し、耐火被覆ロボットは200m2程度の吹き付けが可能となり、

作業効率は約1.3倍

に向上することがわかりました。

建設作業員の1.3倍の作業スピードを実現

建設作業員の1.3倍の作業スピードを実現

従来は吹き付け、コテ押さえ、材料投入の建設技能者が3人1組で作業していましたが、このロボットは吹き付け要員の代わりとなり2人1台が1組となって作業を行います。

従来は3人1組の作業だった(左)が、ロボット導入で2人1台が1組になって作業するイメージ(右)

従来は3人1組の作業だった(左)が、ロボット導入で2人1台が1組になって作業するイメージ(右)

建設用のロボットというと、人間に比べて動作が緩慢でイライラすることも少なくありませんが、この吹き付けロボットは人間を上回るスピードで作業する点で優等生と言えます。工事現場で、人間とロボットが一緒に作業する風景が増えてきそうですね。

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