管理人のイエイリです。
山岳トンネル工事では安全管理上、坑内に今、だれが入っているのかを把握することが重要です。
その方法としてよくあるのが、坑口のボードです。トンネルに出入りするとき、自分の名前が書かれた札を裏返したり、スライドさせたりして、「入坑/出坑」を表示させます。
ところが、飛島建設が施工中の北海道新幹線ニセコトンネルの現場では、新たに開発された入坑管理システムを導入し、便利に活用しています。
坑口のボードを見に行かなくても、
ナ、ナ、ナ、ナント、
現場事務所で入坑者
をリアルタイムに確認できるのです。しかも、それぞれの入坑者が坑口近くにいるのか、坑口から100m以上離れたところにいるのかということまで、わかります。(飛島建設のプレスリリースはこちら)
従来のアナログ的な入坑管理では不可能だった高度な安全管理が行える秘密は、トンネルに出入りする職員や作業員全員が、それぞれ固有の識別情報を発信する「BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコン」を持っているからです。
トンネルの坑口などには、ビーコンの電波を検知するセンサー(IoTゲートウェイ)が設置されており、付近を通った人の情報を自動的にサーバーに送ることで、現在の入坑者の名前をリアルタイムに把握できるのです。
ビーコンを忘れずに持ち運べるように、飛島建設ではビーコン収納ポケット付きの反射チョッキも製作しました。
さらに、このビーコンは別のところでも安全管理の役に立っています。
トンネル坑内で稼働する重機にも、ビーコンの電波を検知するセンサーが取り付けられているため、作業員などが重機に接近し、設定した距離以下になると運転席に備えたモニター画面を通じて
オペレーターに警告
してくれるのです。
これは「建設機械接近警告システム」というものですが、実は入坑管理システムと同じサーバー上で稼働しています。
実は入坑管理システムと接近警告システムは、飛島建設とマック(本社:千葉県市川市)、エム・シー・エス(本社:山梨県韮崎市)が、山岳トンネル工事向けのIoTプラットフォーム「IoT-Smart-CIP(Construction Information Platform)」の第一弾として開発したものなのです。
そのため、各システムをバラバラに開発することなく、同じBLEビーコンやセンサー、サーバーを使って、様々な機能を開発することができます。
今後も同じプラットフォーム上で、人の体調を検知する「バイタルセンサー」を使った体調管理システムや、重機内部のデータを活用した機械稼働時間管理システム、労働環境管理システムなどの開発を進め、山岳トンネル工事のIoT(モノのインターネット)化を実現していくとともに、AI(人工知能)による分析や管理も視野に入れています。
なお、飛島建設は今回、開発した入坑管理システムと建設機械接近警告システムを「BLEを用いた入坑者見える化システム:VisiBLE(ビジブル)」として販売を予定しています。