3年でBIM導入が急増!日事連が中小事務所のBIM活用実態を解明
2019年9月30日

管理人のイエイリです。

日本の建設業界では、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入率はどれくらいなのでしょうか。ぶっちゃけて言うと、その答えは調査した団体や調査対象、調査時期によって大きく変わると言えます。

例えば、私も調査にかかわった「BIM活用実態調査レボート2011年版」では、今から10年近く前の調査にもかかわらず、33.1%が「BIMを導入している」と回答しました。(※このレポートは今でも、オートデスクの「BIMをもっと知りたい」ページからダウンロードできます)

また、日本建設業連合会のBIM専門部会が2017年に、日建連会員企業の建築部門を対象に行ったアンケートでは67%がBIMを導入していると回答しました。(詳細は2018年7月5日付けの当ブログ記事を参照

しかし、これらの調査はBIMへの関心が高い「アーリーアダプター」や、大手建設会社が中心なので、中小の設計事務所の実態は依然として不明なままでした。

この疑問に対し、日本建築士事務所協会連合会(以下、日事連)の「BIMと情報環境ワーキンググループ」がこのほど、信頼性の高い答えを発表しました。

同グループが同協会の会員事務所から得た995件の有効回答をもとに作成した「建築士事務所のBIMとIT活用実態にかかわる調査 報告書(WEB版)」がそれです。

「建築士事務所のBIMとIT活用実態にかかわる調査 報告書(WEB版」)の表紙(以下の資料:日事連)

「建築士事務所のBIMとIT活用実態にかかわる調査 報告書(WEB版」)の表紙(以下の資料:日事連)

この調査によると、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

BIM導入率は30.0%

 

ということが明らかになったのです。(報告書のダウンロードはこちらから

日事連会員事務所のBIM導入率

日事連会員事務所のBIM導入率

この調査によると、「事務所に常駐する総職員数」は1~4人が約5割、9人までを含めると約8割を占めており、中小の設計事務所の実態を表しているものと言えそうです。

導入しているBIMソフトは、ArchiCAD、Revit、Gloobeがベストスリーのようです。設備や構造の専門事務所も含まれているので、RebroやCADWe’ll
Tfas、TeklaStructuresなどの名前も見られました。

導入しているBIMソフト

導入しているBIMソフト

BIMの活用範囲は、プレゼン用資料や企画設計、基本設計といった上流段階での活用が多いようで、実施設計や工事監理などはやや少ないようです。

BIMでよく利用する機能についても、CG・レンダリングがトップでした。やはりデザインの検討やプレゼンテーション、3Dモデルからの図面作成、干渉チェックあたりの活用が多いようですね。

BIMの活用範囲

BIMの活用範囲

BIMでよく利用する機能

BIMでよく利用する機能

BIMを導入した時期については、

 

3年以内が約6割

 

5年以内が約8割となっていました。

日事連の会員企業では今、BIM導入が急ピッチで進みはじめているという見方もできるでしょう

ここ数年、BIM関係のセミナーやイベントが地方都市でも活発に開催されるようになった時期とよく一致していますね。

職員の中でBIMを使っている人数については「1人」が最も多く、約3割を占めていました。「3人以内」だと約7割になります。まずは“BIMのパイオニア”たちががんばって、徐々に事務所内でユーザーが広がっていく感じが読み取れます。

BIMを導入した時期

BIMを導入した時期

BIMを使っている人の数

BIMを使っている人の数

BIMを導入した効果については、「効果があった」が約6割、「効果を実感している」が約3割と、以前の調査に比べるとBIM効果を高く感じている人が多いようです。

BIM導入の効果

BIM導入の効果

最後にBIMを導入しない企業の考え方としては、「BIMソフトの購入にコストがかかる」という答えが約5割もあり、「BIMを操作できる人材の不足」など人の問題を指摘する人が約3~4割いました。さらに「経営者として、現状では必要性を感じない」という人が約3割もいました。

BIMを導入しない理由

BIMを導入しない理由

これらのアンケート結果を見ていると、なんとなく「BIM活用実態調査レボート2011年版」と同じような傾向を感じました。

約10年前にBIMのアーリーアダプターだった企業は今、BIM活用によって設計の自動化やVR(バーチャルリアリティー)や3Dレーザースキャナーなど、新しい価値を創造しています。

日事連の調査からは、最近、BIMを導入した事務所も、同様な変革を遂げていくのではと感じた次第です。

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