管理人のイエイリです。
いくらAI(人工知能)が進化しても、建物の意匠デザインだけは人間の仕事だ、と思っている人に衝撃を与えたのが、立命館大学理工学部建築都市デザイン学科の建築情報研究室(主催:山田悟史講師)で開発された「コルビジェネレーター」という画像生成AIです。
このAIは、あのフランスの巨匠、ル・コルビュジエ風の代表作であるサボォア邸とロンシャンの礼拝堂をミックスしたテイストのデザインを「敵対的生成ネットワーク(GAN)」というAI技術で自動的に作るものです。
このAIは、同研究室の大野耕太郎さんが2018年度に卒業研究で取り組んだものです。現在、大野さんは大学院に進学して研究を続けており、さらに4年生の池之上真吾さんがこの研究に加わりました。
その結果、コルビジェネレーターはさらなる進化を遂げつつあります。
その1つは、作品のバリエーションを増やしたことです。上記の2作品に加えて、
ナ、ナ、ナ、ナント、
サン・ピエール教会を追加
し、2作品ずつを掛け合わせるほか、3作品全部を掛け合わせたデザインも生成できるようにしました。
上の画像集のうち、上の3段が2作品ずつ、下の3段が3作品全部を掛け合わせたデザインですが、人間の“斜め上”をいくAIならではのデザインもありますね。
AIの研究が進化するにつれ、当初、研究者のこだわりがあった「コルビジェネレーター」というネーミングからは卒業したようです。
というのは、AIに、
あのザハ・ハディド作品
を学習させ、コルビュジエとザハのテイストを合わせ持ったデザインも生成できるようにしたからなのです。
上記はコルビュジエとザハの実際の作品に、それぞれザハとコルビュジエのテイストを加えてアレンジしたデザインですが、思わず「なるほど」と、うなってしまいますね。
同研究室ではこのほか、日本と海外の街並みをAIに学習させて、京都風や欧米風の街並み画像を自動生成したり、線画のイラストに“自動塗り絵”したりする研究も行っています。
各地の街並みをAIに学習させるためには膨大な数の「教師データ」が必要ですが、今やグーグルストリートビューなどの画像が豊富に手に入る時代なので、研究も大いに効率化されそうですね。
なお、これらの研究については、2019年12月12日に東京の建築会館で開催される日本建築学会 情報シンポ2019で、大野さんと池之上さんが発表するそうです。ご興味のある方はどうぞ!