高画質写真で0.05mm幅のひび割れも発見!キヤノンがAI点検を開始

2019年11月21日

管理人のイエイリです。

橋梁やトンネルなどの社会インフラ構造物の点検は、技術者が現場に出向いて自分自身の目で確かめる「近接目視」が基本とされてきましたが、時間や労力、足場を組むコストや安全性での課題もありました。

そこで国土交通省は、2019年2月に橋梁とトンネルの点検要領を改定し、高精細画像を使うなど近接目視と同等の診断を行える方法も認めました。

この高精細画像に着目したのがカメラメーカーのキヤノンです。

豊富なカメラやレンズによる高精細画像の撮影、長年の技術を生かした画像処理、そしてAI(人工知能)を活用した変状検知という3つのサービスで構成される画像ベースインフラ構造物点検サービス「インスペクション EYE for インフラ」というサービスを2019年12月下旬から始めることになりました。

キヤノンのカメラやドローンによる現場の撮影イメージ(特記以外の資料:キヤノン)

キヤノンのカメラやドローンによる現場の撮影イメージ(特記以外の資料:キヤノン)

その性能は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

0.05mm幅未満のひび割れ

さえも発見できてしまうのです。(キヤノンプレスリリースはこちら

「インスペクション EYE for インフラ」のサービスで発見されたひび割れ

「インスペクション EYE for インフラ」のサービスで発見されたひび割れ

人間の目だと、0.2mm未満の幅のひび割れは見逃してしまうことも多いですが、さすが“写真のプロ”であるキヤノンが開発したサービスだけに、性能も驚異的ですね。

現場の撮影では、キヤノンの豊富なカメラやレンズ、自動撮影雲台やドローンを組み合わせ、適正な露出で高精細画像を取得します。

続く画像処理では、斜めから撮影した画像を正対化する「あおり補正処理」や、複数方向から撮影した画像を合成する「遮蔽(しゃへい)物除去処理」を行うことで、手前のじゃまな鉄骨などを除去できます。

異なる方向から撮影した写真を合成して、手前のじゃまな鉄骨などを除去する「遮蔽物除去処理」のイメージ

異なる方向から撮影した写真を合成して、手前のじゃまな鉄骨などを除去する「遮蔽物除去処理」のイメージ

そして、画像からひび割れを検知する「変状検知AI」は、15年以上の社会インフラ点検実績がある東設土木コンサルタント(本社:東京都文京区)との共同研究で開発したものです。

コンクリート面のひび割れ検知では、型枠の跡や目地、傷、汚れ、水垂れ痕などを、ひび割れと見分ける必要があります。そこで豊富な点検ノウハウを持つ東設土木コンサルタントが、大量の「教師データ」を作成し、AIを鍛え上げました。

その結果、汚れた壁面でもひび割れだけを検知することが可能になりました。

ある道路高架橋のRC床版では、人間の技術者が近接目視で見つけたひび割れの約99%を検知できただけでなく、人間が見落としたひび割れも検知できました。合計すると近接目視に比べ、2倍以上の本数のひび割れを正しく検知できたそうです。

また、ある事例では人間が画像から約500本のひび割れを抽出するのに720分を要しましたが、ひび割れ検知AIを使って検知し、人間がチェックする方法だと90分で済んだそうです。

生産性は8倍に向上

したというわけですね。

キヤノンでは、撮影、画像処理、変状検知の組み合わせにより、様々なサービス形態を用意しています。変状検知の結果は、画像データやDXF形式のCADファイルで提供されます。

撮影、画像処理、変状検知の組み合わせにより、様々なサービス形態を用意している

撮影、画像処理、変状検知の組み合わせにより、様々なサービス形態を用意している

その後のひび割れデータを管理するシステムとして、東設土木コンサルタントでは「CrackDraw21」というソフトも用意しています。

3Dモデルや展開図上にひび割れを表示して経年変化を調べたり、ひび割れの長さを自動計算したりといった機能があります。

CrackDraw21のひび割れ3D表示機能(資料:東設土木コンサルタント)

CrackDraw21のひび割れ3D表示機能(資料:東設土木コンサルタント)

CrackDraw21のひび割れ長自動計算機能(資料:東設土木コンサルタント)

CrackDraw21のひび割れ長自動計算機能(資料:東設土木コンサルタント)

囲碁や将棋の世界では、AIが人間よりも強いというのは定説になっていますが、ひび割れ点検についても同様に、AIが人間をしのぐ時代になってきたようですね。

なお、このひびわれ検知システムは、2019年11月27日~29日、千葉・幕張メッセで開催される「第3回橋梁・トンネル技術展」や、同12月4日~6日、東京ビッグサイトで開催される「社会インフラテック2019」でキヤノンマーケティングジャパンのブースで出展されるようです。気になる方は、見に行ってみてはいかがでしょうか。

 
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