河川管理が絶賛進化中!グリーンレーザーと魚のDNA解析で川をデジタルツイン化

2019年11月11日

管理人のイエイリです。

河川管理というと、ボートから重りをおろして1点1点深さを測ったり、網で魚をすくって魚種を調べたりという地道な作業を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。つい最近まで、私もその1人でした。

その考えがガラリと変わったのは、土木研究所河川生態チーム 上席研究員 兼 自然共生研究センター長の中村圭吾さんの話を聞いてからでした。以下、そのお話の概要です。

土木研究所河川生態チーム 上席研究員 兼 自然共生研究センター長の中村圭吾さん

土木研究所河川生態チーム 上席研究員 兼 自然共生研究センター長の中村圭吾さん

土木研究所河川生態チームは国総研ビルの8階にある(2点の写真:家入龍太)

土木研究所河川生態チームは国総研ビルの8階にある(2点の写真:家入龍太)

まず、河川の深さを測る深浅測量ですが、最近はグリーンレーザーによるレーザー測量システムにより、

ナ、ナ、ナ、ナント、

上空から河床面を3D計測

できるようになったのです。

グリーンレーザーによって河床面を3D計測する仕組み(特記以外の資料:土木研究所)

グリーンレーザーによって河床面を3D計測する仕組み(特記以外の資料:土木研究所)

グレーンレーザーで計測した河床面と河川堤防の3D形状。福井河川国道事務所の山本一浩課長(当時)が作成

グレーンレーザーで計測した河床面と河川堤防の3D形状。福井河川国道事務所の山本一浩課長(当時)が作成

グリーンレーザーとは、水面下の河床面まで到達して反射し、戻ってくることができます。

これで河床面の形状を計測し、通常の赤外線レーザーで陸上や水面の高さを同時に計測することで、河川敷から河床面までを一気に3D計測できるのです。

3D計測というと、ドローンなどで連続写真を撮って3Dモデル化する方法もありますが、レーザー測量は草木のすき間を通り抜けて地上まで到達するので、地盤面の高さを測れるのが強みですね。

地物を除いた水面からの比高図。グリーンレーザーのおかげで超精密な河川形状を3Dで得ることができるようになった

地物を除いた水面からの比高図。グリーンレーザーのおかげで超精密な河川形状を3Dで得ることができるようになった

台風前後の河床地形の変化も詳細にわかるようになった。三重河川国道事務所提供

台風前後の河床地形の変化も詳細にわかるようになった。三重河川国道事務所提供

河川の3D形状が精密にわかるとなれば、川を流れる水流の解析も高精度化します。各部分の流速や流れの向きがわかるので、次の図のように渦が巻いている状況まで、計算によって再現できるのです。

河川の各部分における流速や流向も細かく計算。渦も再現できるように

河川の各部分における流速や流向も細かく計算。渦も再現できるように

河川の環境管理では、河川にどんな魚類などがすんでいるのかを把握することも重要です。この作業も最近は、画期的に進化しています。

というのも、河川水をすくって、その中に含まれる

DNAから魚種を特定

することができるようになったからです。

河川水に含まれるDNAからすんでいる魚種を特定するシステム

河川水に含まれるDNAからすんでいる魚種を特定するシステム

河川の3D形状や流速・流向、さらにすんでいる魚種までわかると、河川管理は既に「デジタルツイン(デジタルの双子)」の領域に達していると言っても過言ではありませんね。

土木研究所では、河道の3D地形を編集するソフト「RiTER」や、水位などを計算するソフト「iRIC」、河道内の環境を予測評価する「EvaTRIP」などを活用して、河川の改良と生物の評価を同時に行えるシステムを開発しています。

さらにゲームエンジンで河川のVR(バーチャルリアリティー)を作成し、ワンドなどの地形を作り、そのデータをCADファイルに変換するツールなども開発中とのことです。

iRICやEvaTRIPによる河道の評価。深さや流速によりすめる魚も予測できる

iRICやEvaTRIPによる河道の評価。深さや流速によりすめる魚も予測できる

湿地の3Dモデルを作りICT施工を行った例。日野川片粕地区にて

湿地の3Dモデルを作りICT施工を行った例。日野川片粕地区にて

建設業では、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やロボット、AI(人工知能)などの技術が急速に進化していますが、魚のDNA関係の技術もこれに負けないくらい日々、進化しているそうです。

その両方に関係する河川管理の世界こそ、土木の中では今、最もホットな分野なのかもしれませんね。

 
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