途中で着陸側パイロットと交代!電線工事用のパワフルなドローンが登場
2019年12月13日

管理人のイエイリです。

遠く離れた鉄塔の間に電線を張る工事は、太さ数ミリの細いロープを張るところから始まります。その後、細いロープにやや太いロープをつないで引っ張り、ということを繰り返して最後は電線が架設されるという手順です。

農業分野のドローンメーカー、マゼックス(本社:大阪府東大阪市)は、この最も難関である最初の1本をかけ渡すケーブル架設用のドローン(無人機)「延助(のびすけ)III」を開発し、このほど発売しました。

ケーブル架設用のドローン「延助III」(以下の写真、資料:マゼックス)

ケーブル架設用のドローン「延助III」(以下の写真、資料:マゼックス)

ロープを引っ張り、所定の位置に投下する「切り離し装置」

ロープを引っ張り、所定の位置に投下する「切り離し装置」

ドローン本体は980×980×572mm、重量10.7kgと堂々としたもので、ロープを引っ張り、所定の位置に投下する「切り離し装置」が付いています。

細いロープといえども重さは100mで1.5kgほどあり、空中では風も吹くので、数百メートルの距離にロープをかけ渡すためにはロープ重量の約3倍もの力が必要とのことです。

そこで、このドローンは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

150Nの引っ張り力

 

でロープをけん引するパワーを持っているのです。重量に換算すると15kgになります。(延助IIの紹介ページはこちら

150N(15kg)という強力な引っ張り力を持っている

150N(15kg)という強力な引っ張り力を持っている

最大で16kgの推進力を発揮する強力なモーター。プロペラはウルトラカーボン製で長さ33インチ(約840mm)

最大で16kgの推進力を発揮する強力なモーター。プロペラはウルトラカーボン製で長さ33インチ(約840mm)

パワーはいいとして、ケーブル工事にはもう一つの難関があります。それはドローンが離陸する地点から到着する地点までの間に樹木や山があり、見通せないことです。

また、到着地点ではロープが木に引っかからないように、木の間をうまく通す必要もあります。

ロープ架設作業のイメージ。A点とB点、B点とC点の間は、樹木などで見通せないことが多い

ロープ架設作業のイメージ。A点とB点、B点とC点の間は、樹木などで見通せないことが多い

そこで、このドローンは離陸地点と着陸地点に、

 

2人のパイロットを配置

 

し、途中で操縦を交代する国内初の「2オペレーション仕様」になっているのです。

離陸側と着陸側にそれぞれパイロットを配置し、途中で操縦を交代できる

離陸側と着陸側にそれぞれパイロットを配置し、途中で操縦を交代できる

そのため、ドローンが離陸して着陸地点から見えるようになると、着陸地点側のパイロットが操縦権を引き継ぎ、ドローンを安全に誘導し、狙った場所に着陸させることができます。

気になるお値段ですが、機体と送信機2台で148万円(税別)と意外にリーズナブルです。このほか、バッテリーと充電器(16万8000円)が別途必要になります。

プロペラを折りたたむと、かなりコンパクトになる

プロペラを折りたたむと、かなりコンパクトになる

このドローンを使って、450mの距離に4本のロープをわたす作業を行ったところ、人員配置や移動に合計1時間、実際の飛行に合計30分、全作業を90分で完了することができました。従来は2日間の作業が必要だったとのことです。

ケーブル工事には、かなりの生産性向上効果がありそうですね。

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