管理人のイエイリです。
オフィスのフロアに、机や棚などの家具をキレイに配置し、その品番や数量を拾い出して見積書を作成する作業は、豊富な経験や知識と、多くの手作業が必要な労働集約型業務でした。
というのも、一つのイスでもひじ掛けの有無や色などで、数百種類もバリエーションがあり、また家具の配置にも様々なルールがあるからです。
そこでコクヨは、この作業を効率化するため、自動化ソフトウエア「GRIP(グリップ)」を導入しました。
オフィスの2D図面上に家具の3Dモデルを並べていくと、実際の製品品番や仕様に従って精密にレイアウトした2D図面や3Dパース図を作ってくれるほか、
ナ、ナ、ナ、ナント、
数量表や見積書
も自動作成してくれるのです。(コクヨのプレスリリースはこちら)
まさに、家具界のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトと言える存在ですね。
このソフトは、スウェーデンのコンフィグラ(Configura)が提供するパッケージソフト「CET DESIGNER」をペースに開発したものです。
「CET DESIGNER」の英語解説ビデオ。2014年に公開されたものだが、機能はBIMソフトそっくりなのがよくわかる(動画:Courtesy of Configura)
コクヨのオフィス家具のカタログ情報(品番や価格、サイズ、2D/3Dモデル)と、様々な製品のレイアウトルールを組み込めるプログラム(PGC:Parametric Graphical Configuration)からなっており、2017年から約2年間をかけて開発しました。
その効果は絶大です。例えば、15人の社員で検証した結果では、従来の手作業でオフィスレイアウト図面から家具品番などを拾い出す方法だと約120分かかっていた作業が、このソフトを使うと約60分でできてしまうのです。
つまり、
労働生産性は2倍
に向上するというわけですね。
さらに手作業によるヒューマンエラーがなくなり、担当者のストレスも少なくなるほか、ユーザーにも3Dでわかりやすくプレゼンテーションが行えると、いいことずくめです。これは大幅な働き方改革にもつながりそうです。
コクヨは2020年1月から、主に首都圏エリアの拠点でGRIPの導入を開始し、他エリアにも順次、展開していく予定です。
建築業界では、BIMによる意匠と設備、構造の連携が行われていますが、今後は家具業界とも連携したフロントローディングが進んでくるかもしれませんね。