AIやCIMでさらに進化!熊谷組が小トンネル用自動吹き付け機を開発

2020年1月8日

太陽光発電は、電力の固定価格買い取り制度(FIT)により、急速に普及しましたが今、同じ制度によって水力発電所の建設も増えています。

水力発電と言えば、巨大なダムを建設することを思い浮かべがちですが、今、増えているのは比較的小規模の中小水力発電で、まだまだ開発できる地点が多く残されています。(経済産業省資源エネルギー庁のウェブサイトより)

中小水力発電所の認定量と運転開始量は年々増えている(資料:資源エネルギー庁)

中小水力発電所の認定量と運転開始量は年々増えている(資料:資源エネルギー庁)

こうした動きを受けて、水力発電所用の小断面山岳トンネル工事も活況を呈しています。しかし、断面が小さいので、岩盤を掘削後にトンネル内面を保護する吹き付けコンクリートの施工は、粉じんが充満する悪い環境下で行わなければいけません。

そこで熊谷組は、得意の無人化施工技術を生かし、遠隔で吹き付け機を操作できる「小断面トンネル自動吹き付け機システム」を開発しました。

小断面トンネル用の自動吹き付け機システム(以下の写真、資料:熊谷組)

小断面トンネル用の自動吹き付け機システム(以下の写真、資料:熊谷組)

小型のバックホーのアーム先端に自動吹き付けロボット機能を搭載した構造で、ベテランオペレーターの吹き付け作業を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

忠実に再現できる

のです。(熊谷組のプレスリリースはこちら

オペレーターが操作して描いた赤線の上を、自動吹き付けシステムが青線でなぞる上書き再現試験

オペレーターが操作して描いた赤線の上を、自動吹き付けシステムが青線でなぞる上書き再現試験

この吹き付け機には教示(ティーチング)システムが搭載されており、オペレーターが操作した吹き付け作業の“ノズル運び”をマシンが覚え、その通りに作業を行うことができます。

同社の筑波技術研究所で、塗装用のスプレーを使った実験では、オペレーターが赤い色のペイントで線を描く作業を覚えた後、今度は青いペイントで教示運転を行ったところ、その差は上下左右とも2mm程度でした。

また、もっとリアルに現場を再現した模擬トンネルによる吹き付け実験では、吹き付け位置は上下2cm、左右1cm以内に収まったほか、吹き付け厚も10±3cmに収まり、システムの有効性を確認できました。

模擬トンネルによる吹き付け実験。オペレーターが吹き付けた部分

模擬トンネルによる吹き付け実験。オペレーターが吹き付けた部分

教示運転により吹き付けシステムが自動再生で再現した部分

教示運転により吹き付けシステムが自動再生で再現した部分

作業中に吹き付け量が一定せず、負荷変動があると、吹き付け厚の誤差が大きくなりがちです。

そこでノズル回転部の油圧モーターの制御には、素早い回転角度の変化に対応する高精度位置検出装置を使って、比例電磁油量弁を適切に制御することによって負荷変動を最小限に抑えています。

自動吹き付け機システム構成図。ノズル回転部には高精度位置検出装置を使うことで負荷変動を最小限に抑えている

自動吹き付け機システム構成図。ノズル回転部には高精度位置検出装置を使うことで負荷変動を最小限に抑えている

熊谷組では、トンネル施工時の生産性向上や作業環境の改善を目指して、

次世代トンネル技術

の開発を進めており、今回の自動吹き付け機はその第一弾となります。

今後、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)管理システムと連動しながら、i-Constructionを目指す中核技術としての開発や実用化試験を続けていきます。

来年度の現場導入に向けて最新のICT(情報通信技術)やAI(人工知能)も導入した自動吹き付け機を製作中とのことです。

さらに小断面施工機械に特化したKIT(Kumagai Innovative Tunnel Project)プロジェクトを立ち上げ、吹き付け機のほか削孔機や積み込み機などを含めた建機シリーズの開発も並行して進めていくとのことです。

山岳トンネルの分野は、機械化により東海道新幹線時代に比べて生産性が10倍以上に上がっていますが、さらにAIやCIMなどの技術を導入することで、生産性はさらに上がっていきそうですね。

 
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