管理人のイエイリです。
最近、静岡県や兵庫県といった自治体が大容量の点群データをウェブサイトで無料公開されたり、高性能の点群ブラウザー「3D Point Studio」が無料公開されたりしたことで、建設関係者にとって点群データはぐっと身近な存在になってきました。
そして、このほど、さらにパワーアップした点群データが、静岡県島田土木事務所によって公開されました。
二級河川瀬戸川や朝比奈川の河川改良工事のために測量した点群データですが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
グリーンレーザー
による航空測量によって、水中にある河床部まで計測されているのです。
点群データが公開されたのは、「My City Construction」というウェブサイトで、受注者が電子納品成果データをアップロードするための設けられたものです。
国土交通省建設技術研究開発助成制度(平成29-30年度)の支援を受け、東京大学生産技術研究所、建設技術研究所、社会基盤情報流通推進協議会の3者が開発・実証実験を行っています。
このサイトでは、様々な測量や設計、工事の情報が掲載されており、中には成果品として点群データがダウンロードできるものもあります。
今回のグリーンレーザーによる航空測量の点群データは、「平成30年度[第30-K3245-01号]二級河川瀬戸川ほか河川改良に伴う測量業務委託(航空レーザー測量)」という業務の成果品として公開されています。
早速、ダウンロードしてみました。グリーンレーザー測量の点群データは樹木や建物などが写っている「オリジナルデータ」(データ容量:6.41GB)と、地表面だけを取り出した「グラウンドデータ」(同:2.81GB)です。
ダウンロードして解凍すると、それぞれのフォルダーには同じファイル名で14個の点群データが入っていました。1ファイル当たりの容量は十数MB~1GBです。
試しにオリジナルデータとグラウンドデータの両フォルダから、「08od152.las」という名前の点群を、無料点群ブラウザー「3D Point Studio」で開いてみました。すると、朝比奈川の東名高速道路の橋梁から東海道新幹線の橋梁あたりまでが含まれていました。
グリーンレーザーは、川の水面を突き抜けて河床部まで測量できるのが特徴です。いったい、どのように計測できているのかを確認するため、まずは「オリジナルデータ」で河道の断面図を切ってみたのが下の図です。
ちゃんと水中の河床部の断面が取れていますね。そして堤防の上や堤内地側には、建物らしき影も見えます。
次に地表面だけを取り出した「グラウンドデータ」で、同じ部分の断面図を切ってみたのが下の図です。
点群の最低部/最高部の高さで表示スケールが変わるせいか、高さは違いますが樹木や建物の影がなくなり、地盤の線がきっちり取り出されているのがわかります。
ちなみに、この測量業務の受注者は、航空測量大手として知られるパスコで、受注金額は
1444万1000円(税込み)
とのことです。こんな高価なデータが無料で見られるとは、ただただ感激です。
ついでに、朝比奈川にかかる東名高速道路の橋はどのように計測されているのかを、断面図で見てみました。
断面図を見ると、河床部と路面の高さがわかるほか、カーブの外側が高くなる「カント」がついていることもクリアにわかりました。
私はあまり点群データに触ったことがないのですが、細部をいろいろと見ていくと新発見ばかりで飽きません。皆さんもぜひ、グリーンレーザーによる点群を“鑑賞”してみてはいかがでしょうか。