管理人のイエイリです。
少子高齢化による労働力不足が今後、ますます深刻になる建設業界では、人の代わりにロボットやAI(人工知能)をますます利用していかないと工事ができなくなると言っても過言ではありません。
そこで大手ゼネコンを中心として、施工用のロボットや施工管理を自動化するIoT(モノのインターネット)関連の技術が続々と開発されています。
その半面、鉄骨の溶接を自動化するため、複数の建設会社が同じようなロボットをそれぞれ独自に開発するなど「二重開発、三重開発のムダ」があったり、ロボットのコストが高すぎたりといった問題も出てきました。
こうした問題を解決しようと、鹿島と竹中工務店はロボット施工やIoT分野における基本合意書を締結し、2019年12月から技術連携を進めています。
その結果、鹿島が開発した「溶接ロボット」や竹中工務店が開発した「清掃ロボット」を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
両社の現場で相互利用
するというのです。(鹿島、竹中工務店のプレスリリースはこちら)
また、機能改善のためお互いのロボットを使用した結果を相互にフィードバックし合うほか、機械の遠隔操作システムや現場内搬送管理システムの共同開発も行っていきます。
両社がロボットやIoT分野で連携する目的は、ズバリ、建設業の生産性向上にあります。
似たようなロボットの重複開発のムダをなくし、生産台数を増やすことでロボットの価格を引き下げます。
また、ロボットを実際に使用するのは協力会社ですが、ロボットが共通だと操作方法の習得も効率的になります。
このほか、他産業から建設業向けのロボットやIoT分野への参入を増やしたり、生産性向上によるワークライフバランスや処遇を改善したりすることにより
建設業の魅力を高めて
若い人材が入職することを促進する狙いもあります。
これまではロボットやIoTなどの技術は、他社との差別化を図るという意味合いがありましたが、最近は差別化のメリットよりも、他社と技術やシステムを共通化するメリットの方が大きくなってきたのでしょう。
同様の動きは、既にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などソフト分野でも起こっています。
例えば、大林組、清水建設、大成建設が構造設計に使う柱や梁のBIMオブジェクトの仕様を共通化したり、BIMオブジェクトの総合検索プラットフォーム「Arch-Log」を運営する丸紅アークログと大林組がアライアンスを締結し、他社の参加呼びかけたりといったことがありました。
今回、鹿島と竹中工務店が施工用のハード分野で連携したことは、いよいよ建設業界全体でのロボットやIoT活用が本格化するキッカケになりそうです。