3Dスキャナーで壁の凹凸を発見!東急建設がタイル工事用に開発した訳とは
2020年3月12日

管理人のイエイリです。

東急建設は、施工中の建物の足場に3Dレーザースキャナーを置いて、コンクリート壁面を計測するという施工管理手法を開発しました。

足場に置かれた3Dレーザースキャナー(以下の写真、資料:東急建設)

足場に置かれた3Dレーザースキャナー(以下の写真、資料:東急建設)

これはいったい、何をやっているのかというと、

ナ、ナ、ナ、ナント、

壁の凹凸を計測

しているのです。(東急建設のプレスリリースはこちら

 

「コンクリート表面評価システム」のイメージ図

「コンクリート表面評価システム」のイメージ図

 

3Dレーザースキャナーのモニター画面

3Dレーザースキャナーのモニター画面

これは「コンクリート表面評価システム」というもので、建物の外壁にタイルを「有機接着剤」で張り付ける前に、壁の凹凸(不陸)分布を点群で計測し、見える化するものです。

凹凸が基準よりも大きい部分は、協力会社の下地調整作業者が補修しますが、作業前に不陸部分がわかっているので、作業効率は大幅に高まります。

そして、今後は

ARなどを活用

し、不陸部分をiPadやウエアラブルカメラによって可視化することにより、下地調整作業者の作業効率をさらにアップされる手法も研究していくとのことです。(※AR=拡張現実。実物の現場上に補修すべき範囲などを重ねて見られるようにするシステム)

このシステムが開発された狙いは、建物の竣工後、10年ごとに必要となる外壁タイルのはく落危険性を確認する定期調査を省力化することにあります。

従来のモルタルによる張り付け工法の場合は、10年ごとに「全面打診調査」などを行う必要があり、建物全体に足場を設置するために大きなコストと時間がかかっていました。

しかし、2018年5月に国土交通省から技術的助言が示され、有機系接着剤を使った工法の場合は、壁面100m2につき1個程度を「引張接着試験」をサンプル的に行えるようになり、足場が必要なくなりました。

ただ、全面打診調査を引張接着試験に切り替えるための条件としては、モルタルを使用していないことを証明するために「外壁タイル下地調整塗材等を下地に塗布した記録」という資料を、施工時に残しておく必要があります。

建物の立面図上に、どの部分をどんな材料で補修したのかを範囲で図示する必要があり、人による作業では正確性の確保や記録作成に多くの時間や労力がかかります。

そこで、このシステムを使うと、壁面のどの範囲をどんな材料で補修したのかを記録した書類を、短時間で作成できるのです。

建物のライフサイクルコストを減らすために、施工時の詳細な記録が役立つというわけですね。これはいろいろな面で活用できる戦略ではないでしょうか。

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