管理人のイエイリです。
山岳トンネルの工事では、一般の道路ではなかなか見られない超大型のダンプトラックなどが行き交います。
工事中の坑内は重機や資材などが置いてある場所も多く、大型車両がすれ違うことができない場所も多々あります。万一、そんな区間で大型車両同士がはち合わせしたらと思うと、運転手のストレスもたまりそうですね。
しかしトンネル内では、GNSS(全地球測位システム)の電波が届かないため、車両の位置を知ることはなかなかできませんでした。
そこで鹿島は、トンネル内を走行する車両の位置や走行方向を正確に、リアルタイムに検知するシステムを開発しました。
このシステムによって、運転手はトンネル内にいる車両を
ナ、ナ、ナ、ナント、
タブレット画面で確認
しながら、安心して運転できるようになったのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
このシステムは、鹿島が屋外を走るダンプ位置を把握するために開発した「スマートG-Safe」を、トンネル坑内でも使えるように機能拡張したものです。
車両の位置を計測する手段として使ったのは、坑内に100m間隔で設置してあるWi-Fiアクセスポイントとビーコン(発信機)の電波です。
これらの電波強度を「測位アルゴリズム」で解析することで、最大時速30kmに達する車両の位置をと走行方法を正確に測定することができます。
車両の位置情報は現場事務所のモニターにも表示され、タブレットを利用して運転手と現場管理者の間で双方向通信を行うこともできます。
また、緊急事態が発生したときには、すべての運転手に向けて「緊急時一斉メッセージ」を発信する機能や、運転手から現場管理者や全ドライバーに異常を知らせる「緊急ボタン」の機能も備えています。
こうなるとトンネル坑内でも、鉄道の運行管理システム並みの安全管理ができそうですね。
また、工事の進ちょく管理の観点からは、トンネルの掘削最前線である「切羽」までの到達回数を
車種ごとに自動カウント
できるため、発破後の土砂(ずり)の搬出工程や、坑壁への吹き付けコンクリートの工程を、車両の台数単位でリアルタイムに把握し、工事関係者全員で共有することもできます。
このシステムは、鹿島が高知県で施工中の日下川新規放水路工事に導入され、効果が確認されました。今後は山岳トンネル工事以外にも展開し、安全性と生産性の両立を目指していく予定です。