スマホでRTK-GNSSによる土量計算!ソフトバンクと日立建機のコラボで実現
2020年7月1日

管理人のイエイリです。

人工衛星からの電波を使って誤差数センチメートルの測量を行う「RTK-GNSS」は、これまではICT建機による施工など、大がかりな作業への活用に限られてきました。

その理由は、現場に数百万円もする機器を使って位置補正情報を取得する「基地局」を設置する必要があり、使用開始まで1時間程度待つ必要があったからです。

そこでソフトバンクは、このRTK-GNSSを全国どこでも、手軽に使えるようにしようと高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」を開発しました。

同社が全国3300カ所以上にある携帯電話用のアンテナに独自基準点を設置し、低価格できめ細かく、位置補正情報を提供するものです。

ソフトバンクの携帯電話用アンテナ。ここにRTK-GNSS用の基地局を設けて「ichimill」用の位置補正情報を提供する。ドローンは今回、関係ありません(資料:ソフトバンク)

そして、日立建機は建設機械メーカーとして初めて、この「ichimill」を採用し、画期的な活用方法を編み出しました。

スマートフォンを使って、

ナ、ナ、ナ、ナント、

高精度の土量計算

を1時間で行える「Solution Linkage Survey」アドバンス版というものなのです。(日立建機の関連ページはこちら

スマホを使って高精度の土量計算を行う「Solution Linkage Survey」アドバンス版の全体図(以下の資料:日立建機)

使い方はまず、Android版のスマホに取っ手となる「グリップ」とGNSS用の受信機やアンテナを外付けし、アプリをインストールします。

そしてアプリを起動させると、宇宙空間を飛んでいるGNSSの電波と、ソフトバンクから携帯電話用の4G回線で送られて位置補整情報の両方をキャッチし、RTK-GNSSによる高精度の測量が行える環境が整います。

あとは土量計算を行いたい「砂山」の周囲をぐるりと一周歩いて回りながら動画を撮影するだけです。

グリップとGNSS用のアンテナを外付けしたAndroid版のスマホ。赤枠内はソフトバンク製の受信機

土量を計測する砂山の例

砂山を一周しながら動画を撮影する

動画撮影中のスマホ画面

動画の撮影が終わると、アプリが動画から「静止画」を100枚程度、切り出します。これをクラウドに送ると、10分程度で砂山の3Dモデルを作成してくれるので、スマホにダウンロードします。

あとはスマホ上で土量計算を行うための底面や範囲を指定すると、自動的に土量を計算してくれるというわけです。

クラウドが作成した3Dモデルをスマホにダウンロードしたところ

土量を計算する範囲(ピンクの帯)と底面(3つの青い点)で指定すると高精度な土量が計算できる

撮影開始から土量が出てくるまでの時間は、合計1時間程度だ

スマホで現場の動画撮影を始めてから土量計算が終わるまでの時間は1時間ほどです。

ドローンによる空撮や従来の測量機器による計測だと、こんなに短時間に手軽にはできませんね。

ちょっと専門的な話になりますが、各GNSS衛星からは周波数が異なるL1(1575.42MHz)とL2(1227.60MHz)という2種類の電波が発信されており、このシステムで使うアンテナはこれらの2周波を受信できるため、計測の準備時間をさらに短縮できるという特長もあります。

これまで、RTK-GNSSによる高精度の測量を行うためには、アンテナや受信機の購入費用、補正情報を提供する事業者に支払う月額数万円のサービス料が発生していましたが、今回のアドバンス版では、スマホやGNSS受信機、「ichimill」の測位サービスをパッケージ化して月額制で提供するため、ランニングコストは

最大7分の1程度

に抑えることができます。

携帯用アンテナがGNSS測量用の基地局としても稼働することで、今後、ICT建機や路線測量など、様々な分野で手軽に安価に、RTK-GNSSの“高精度パワー”が使えるようになりそうですね。

【訂正】
初出で「L2(1176.45MHz)」としておりましたが、「L2(1227.60MHz)」の誤りでした。訂正します。(2020年7月2日)

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