管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で生産性を上げるためには、BIMの“I”(情報)の活用が重要とよく言われます。しかし、コスト情報については、あまり活用されていなかったのではないでしょうか。
そんな中、東急建設は2022年3月、BIMモデルから、精度の高い見積書をスピーディーに作成する「建築BIM積算(精算見積)連携システム」のプロトタイプを開発しました。
これまでもBIMモデルの属性情報にコストを入れて、概算見積もりを行うシステムは各社で開発されてきました。
このシステムがスゴいのは、設計BIMモデルのデータを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
見積部署の積算システム
と連携させて、高精度な見積書を作れるところなのです。(東急建設のプレスリリースはこちら)
同社によると見積部署が運用する、正式な積算システムとBIMモデルを連携させた例は、日本の建設業界では初めてとのことです。
このシステムは、オートデスクのBIMソフト「Revit」のアドオンアプリとして開発されました。設計BIMモデルの属性情報と、積算用の工事項目やコードなどを読み込み、同社の積算システム「東急版Tetra21」で読み込めるデータを出力する機能を持っています。
このシステムによって、数量拾いから集計までの時間が70%程度削減され、圧倒的に速いスピードで顧客に高精度の見積書を提案することができます。つまり、見積もり作業を
“3倍速”以上
で行えることになりますね。
また、設計内容や単価が変わったときも、すぐに変更後の見積書を作成できます。
このシステムの開発は、2020年9月に始まり、「建築BIMのデータ、モデル分析」、「システム開発」や「テスト運用」を経て、2022年3月にプロトタイプである連携データ作成システムが完成しました。今後、テスト運用や調整を行い、10月の本格運用を目指します。
同社では長期経営計画で、「競争優位の源泉」の一つとして「デジタル技術」を掲げており、BIMプラットフォームの構築による建築事業のデジタル化を加速しています。
今回のBIM積算システムも、自社で利用するだけではなく、社外の積算コンサルやBIMコンサルにも展開し、BIMデータの標準構築でリーダーシップを取ることを目指しています。
そうなると、工事項目やコードなどを建設業界で統一していくという議論なども高まってきそうですね。