管理人のイエイリです。
現在、道路信号の制御によって交通渋滞がどのように変わるかや、観光や災害時に人々がどのように移動するかといったシミュレーションは、コンピューターでクルマや人を一つ一つ、モデル化して計算を行うことで予測しています。
ただ、そこで問題になるのは、対象地域が都市レベルに広がったり、人の年齢や移動手段などの条件を増やすと、あまりにも膨大な計算が必要になるため、長時間の計算が必要になり、時にはスーパーコンピューターであっても何万年もかかったりすることもあり、現実的に解けないという問題も出てきています。
こうした問題を解決しようと、清水建設はグルーヴノーツ(本社:福岡県福岡市)、GEOTRA(本社:東京都千代田区)とコラボし、交通・防災・観光の最適解を得るためのデータ分析プラットフォームの開発に着手しました。
その解析に使う道具というのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
量子コンピューター
という最先端技術なのです。(清水建設のプレスリリースはこちら)
これまでのコンピューターは、データや変数を「0か1か」にはっきり分けて表現し、それをプログラムで決められた通りに地道に計算して答えを算出するというものでした。
それに対して量子コンピューターとは、電子など原子レベルの動きなどの物理的性質を利用して、膨大な計算をスピーディーに行うものです。出てきた答えは「唯一」ではなく、確率的に出てくるので何度か繰り返して計算し、実用的な最適解を導き出せるものです。
都市や防災、観光などの「バッグデータ」から未来を予測し、最適な方向性をスピーディーに求めるためには、量子コンピューターは有効な手段になりそうです。
3社のコラボレーションの中で、清水建設はまちづくりのノウハウやデータ、グルーヴノーツは、量子コンピュータやAI(人工知能)、ビッグデータを手軽使えるクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」や都市の可視化を図る「City as a Service」(CaaS)、GEOTRAは詳細な人流分析やシミュレーションが行える「GEOTRA Activity Data」をそれぞれ提供します。
これらを組み合わせて、交通・防災・観光の最適化に寄与するデータ分析プラットフォームを構築します。
データ分析では、国・自治体のオープンデータや学識者の助言も取り入れて、交通の最適化や地域の活性化、都市防災の高度化などの課題を総合的に解決し、全国の自治体と連携したまちづくりに活用していきます。
では、量子コンピューターやAIと具体的にはどんな課題が解決できるのでしょうか。
まずは東京都内全体といった広範囲の道路交通量や、災害時にがけ崩れなどで通行止めになった道路の復旧による交通の可視化があります。
観光地関係では、来訪客の細かいスポット分析や、起点/終点のOD調査などがあります。
また、商業的にはエリア内の人の回遊状況や、ある地域などへの来訪者がどこに住んでいるのかといった分析結果も可視化できます。
状況や条件を変えて、こうした
未来の最適解
がどう変わるのかを、スピーディーに解析し、予測できるのが量子コンピューターの強みと言ってもいいでしょう。
私自身、量子コンピューターがどのような原理で動くのかは、ほとんど理解していませんが、こうしたソリューションが世の中にあり、利用可能な時代になってきたことは、知っておいて損はなさそうですね。