アート作品を3Dスキャンし、建設用3Dプリンターで印刷! 京都・東福寺光明院で絶賛公開中
2023年3月17日

管理人のイエイリです。

京都・東福寺光明院では、彫刻家Nell Shiina氏による個展「Where now in our gaze?」が開かれており、枯山水庭園の波心庭の中には黒光りする彫刻が展示されています。

京都・東福寺光明院の波心庭に展示中の彫刻(以下の写真、資料:MAT一級建築士事務所)

京都・東福寺光明院の波心庭に展示中の彫刻(以下の写真、資料:MAT一級建築士事務所)

この彫刻は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

建設用3Dプリンター

で“印刷”されたものなのです。(MAT一級建築士事務所のプレスリリースはこちら

建設用3Dプリンターでの印刷作業(左)と、硬化を待つ彫刻のパーツ(右)

建設用3Dプリンターでの印刷作業(左)と、硬化を待つ彫刻のパーツ(右)

波打つような曲面が自由自在に作れたのも3Dプリンターのおかげだ

波打つような曲面が自由自在に作れたのも3Dプリンターのおかげだ

この彫刻は、Nell Shiina氏とクリエイティブディレクターのアラタ スズキ氏のコラボレーション作品で、制作にはMAT一級建築士事務所(本社:群馬県吾妻町。以下、MAT社)の建設用3Dプリンター技術が採用されました。

当初は、高さ約3mの彫刻を作る予定でしたが、波心庭には重機が入れないことが判明したため、各部材を人が運べる大きさと重さで印刷するように計画を変更しました。

その結果、印刷部分の高さを約2mに変更し、7つのパーツに分けて印刷しました。安全面を考慮して、パーツの中心部は空洞にして、スチール製の支柱を軸として積み上げました。

波心庭に設置された彫刻

波心庭に設置された彫刻

各パーツの表面は、波打つように不規則な面で構成されています。

3Dプリンターの印刷用データの始まりは、Nell Shiina氏がイメージしたモチーフを石こうでサンプルを作成し、MAT社が、

3Dスキャン

を行って3Dデータ化しました。

そのデータをもとに、実際に印刷するための構造案を、MAT社の代表取締役で建築家の田中朋亨氏が設計しました。

その設計を、さらにアラタ スズキ氏が再構成し、MAT社の設計チームが印刷用の3Dモデリングを行ったのです。

モチーフ(左端)を3Dスキャンし、造形用の3Dモデル(右端)を作るまでの制作過程

モチーフ(左端)を3Dスキャンし、造形用の3Dモデル(右端)を作るまでの制作過程

彫刻の制作にかかわったメンバー。左からNell Shiina氏、アラタ スズキ氏、田中朋亨氏

彫刻の制作にかかわったメンバー。左からNell Shiina氏、アラタ スズキ氏、田中朋亨氏

この彫刻の展示期間は、2023年3月10日から4月9日までです。ご興味のある方は、花見も兼ねて京都の東福寺光明院に出掛けてみてはいかがでしょうか。

MAT社は2022年にオランダのCyBe Construction社の3Dプリンターを導入し、Polyuse(本社:東京都港区)とのコラボで、日本で初めて確認済み証の交付を受けた建物を印刷しました。

このほか、ワークスタジオ(本社:東京都新宿区)とともに、廃棄衣類繊維を3Dプリント建築の断熱材として商品化するなどの取り組みを行っています。

今後も建設用3Dプリンターを活用し、SDGsを意識したプロジェクトを多く計画しているとのことですので、日本の3Dプリント建築も幅が広がっていくことが期待されますね。

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