Chat GPTで計画、Midjourneyでデザイン、自動的にBIM化! “プロンプトアーキテクト”のスピード設計術とは
2023年6月2日

管理人のイエイリです。

アメリカ建築家協会日本支部(AIA Japan。所在地:東京都品川区)は、2023年5月27日、「BIMSTORM / A CHARETTE FOR ARCHITECTS AND MACHINES」と題するオンラインセミナーを開催しました。

講演したのは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使って24時間で建物を設計するコンテスト「BIMSTORM」の創始者として知られるキモン・オオヌマ氏(Kimon Onuma)と、米国一般調達局(GSA)でBIM施策を担当してきたスティーブ・ハガン(Steve Hagan)氏です。

セミナーの内容は、東京・築地市場の跡地に、架空の「AI博物館」などを、話題のチャットAI「Chat GPT」や画像生成AI「Midjourney」、そして自動化されたBIMを使って設計するというものです。

セミナーで講演したキモン・オオヌマ氏(左上段)とステファン・ハガン氏(左下段)(以下の資料:オンラインセミナーより)

セミナーで講演したキモン・オオヌマ氏(左上段)とステファン・ハガン氏(左下段)(以下の資料:オンラインセミナーより)

このセミナーでは、AIに様々なテキストで指示し、設計業務を進めていく“プロンプト・アーキテクト”という新職種の誕生を予言し、そのスピード設計ぶりが紹介されました。

東京・築地市場の跡地に計画された学校施設のBIMモデル

東京・築地市場の跡地に計画された学校施設のBIMモデル

例えば、プロンプト・アーキテクトの手法を使うと、上記のような学校施設の規模や必要な部屋数などを計画し、BIMで概略のマスモデルを作るのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

たった10分間

でできるというのです。

学校施設の計画からBIMによるマスモデル作成までにかかる時間の内訳

学校施設の計画からBIMによるマスモデル作成までにかかる時間の内訳

その内訳は、Chat GPTに「700人が学ぶキャンパスに必要な建築計画を作れ」と指示して諸室の一覧表を作るのに1分、「Program2BIM」というデータベースから家具付きの諸室のBIMモデルを取り出すのに3分、そして「Onuma System」によってマスモデルを作り、グーグルアース上に建てるのに6分というものです。

セミナーでは、その過程を参加者自らがスマホを操作しながら体験しました。

例えば、建築計画の作成はスマホ版のChat GPTに「400人が学ぶ小学校の建築計画を作れ」と入力します。すると、Chat GPTはすかさず「Sure」と答えて、表形式の諸室一覧表を作ってくれました。

Chat GPTによる建築計画の作成。必要な諸室の数や面積を一覧表にして作ってくれる

Chat GPTによる建築計画の作成。必要な諸室の数や面積を一覧表にして作ってくれる

各諸室の種類や規模に応じたBIMモデルは、 「Program2BIM」というデータベースサイトからダウンロードします。

このデータベースサイトには、オフィスビルや医療施設、学校などの建物別に、標準的な家具や什器が付いた「BIMモデルのもと」が用意されており、それぞれ必要な数を入力してダウンロードできるようになっています。実習では手作業で行いました。これをプログラムで自動化し、諸室一覧表連携して必要な部屋をダウンロードすると数分で完了できるようです。

諸室のデータベースサイト「Program2BIM」にスマホでアクセスする

諸室のデータベースサイト「Program2BIM」にスマホでアクセスする

必要な諸室のBIMモデルと数を入力する

必要な諸室のBIMモデルと数を入力する

ダウンロードした諸室のBIMモデル

ダウンロードした諸室のBIMモデル

そして、これらの諸室BIMモデルをオオヌマ氏が以前から開発している「Onuma System」を使って自動的に立体配置するとマスモデルが完成します。

後は、BIMソフト上で各部屋の配置や形などを修正し、設備や構造などを入力してBIMモデルとして仕上げていきます。

自動作成されたマスモデル(左)と、Midjourneyで作成したイメージ画像(右)。両者は別々に作られたので、外観には整合性がない

自動作成されたマスモデル(左)と、Midjourneyで作成したイメージ画像(右)。両者は別々に作られたので、外観には整合性がない

設備などを入れて仕上げたBIMモデル

設備などを入れて仕上げたBIMモデル

一方、画像生成IT「Midjourney」による意匠設計もスピード感あふれるものでした。建物のイメージや視点、周囲の状況などを「プロンプト」部分にテキスト入力するだけで、様々なデザインが瞬時に作られるのです。

例えば、AI博物館の外観をデザインするのに「ギリシャ・アテネのパルテノン神殿風で、夕暮れのドラマチックな照明や空をフォトリアリステックに」「東京のウオーターフロントで、

フランク・ゲーリー風

の建物にしてほしい」などと指示するとそれらしいデザイン画像が出てきます。

パルテノン神殿風のAI博物館

パルテノン神殿風のAI博物館

フランク・ゲーリー風のAI博物館

フランク・ゲーリー風のAI博物館

また、有名建築家がざっくりと作ったスケッチを入力して、それをもとに具体的な建物のCGイメージを作ることもできます。

安藤忠雄氏によるフォートワース現代美術館のスケッチをもとに、Midjourneyが作成したCGイメージ

安藤忠雄氏によるフォートワース現代美術館のスケッチをもとに、Midjourneyが作成したCGイメージ

このほか、「設計中の建物から外を見たところ」など、様々な位置、角度からの眺めをイメージ画像化することも可能です。

様々な位置や角度から見たイメージ画像(円内)とグーグルアースのモデル(下)

様々な位置や角度から見たイメージ画像(円内)とグーグルアースのモデル(下)

試しに、イエイリも40階建ての丸みを帯びたビルのイメージを、Midjourneyに作らせてみましたが、下記のようなリアリティーに欠けたものがいろいろと出てきました。まだまだ「プロンプト力」が足りないようですね。

イエイリがMidjourneyに作成してもらったビルのイメージ画像

イエイリがMidjourneyに作成してもらったビルのイメージ画像

この2時間に及ぶオンラインセミナーを見たい方は、「BIMStorm」のウェブサイトの「A Charrette for Architects and Machines」というコーナーに、録画ファイルが公開されています。ご興味のある方はぜひ、ご覧くださいね。

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